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Tさん 男性 47歳 既婚 子供2名 休職中で現在両親と同居

2016/05/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

Tさんは、46歳の時大手企業を退職しました。3カ月間30社に応募し、転職活動をするも、採用に至らず不安な日々を送っていました。

在職中は法人営業で活躍していました。その後、企業の合併で企業風土に変化があり、組織移動、労働条件や賃金の低下などで社員は翻弄する日々を送る中、Tさんは不眠が続くようになってしまい心療内科でうつ病と診断されました。

 

営業から管理部署への異動

40~50歳以上の希望退職を募っていましたが、それでもTさんは退職をせず企業に残る道を選択しました。

その後、人事異動となり管理系の仕事をすることになりました。

慣れない数字に日々追われ、疲れてはいましたが、土日に小学校の野球チームのコーチをすることで気分転換をしていました。子供たちや、父兄から慕われ、信頼もありました。

ようやく仕事にも慣れた頃、決算時期がきました。深夜遅くまでの残業が続き、課員達もそれぞれの仕事に追われ疲れてきって翌日朝早く出勤してきます。

Tさんもみんなのペースについていくように努力し、迷惑をかけないよう体調にも気を遣っていました。

 

思いがけない事故がきっかけで

そんな中、日曜日に地域の野球対抗試合がありました。

Tさんのチームは決勝まで進み、白熱の戦いの結果、優勝しました。

その後、子供達や父兄、スタッフと優勝パーティーが行われました。優勝ということもあり、Tさんもお酒が進みました。

パーティーの帰り、電車に乗ったTさんは眠り込んでしまい、終点で駅員に起こされました。

帰りの電車も無く、近くのビジネスホテルを探すために駅の階段を降りた時、右足をひねってしまいました。その後ホテルにチェックインし、家族に事情を説明し、一晩を過ごしました。

翌朝、足の痛みで目がさめると、足が通常の倍程に腫れ上がっていました。

朝一番の電車に乗り、何とか自宅に戻り、病院へ行きました。

会社には怪我のため休むと連絡をしたところ、上司より「こんな時に…。また連絡しなさい」とそっけない返事が返ってきました。自分の愚かさに反省しつつ、仕事のことから頭が離れません。

 

責任感の強さと自責の念

医師からは、アキレス腱が切れているため全治3カ月と診断されました。1カ月の休職届けを提出し、自宅療養とリハビリの生活に入りました。

Tさんは仕事に穴を開けてしまったこと、自分の浅はかな行動に後悔し、自分を責めるようになりました。

「こんなに忙しい時に事故を起こすなんて何てだらしのないやつだ」

「せっかく慣れてきてこれから挽回できる時だって時に、もう仕事は任せてもらえないだろう」

「あいつは前から酒癖が悪かったからな」

「責任感のないやつだ」

など、いろんな声が頭の中に巡り、頭から離れません。

家族からは後悔しても結果も出ないのだから、今は治療に専念するよう言われますが、今後のことを考えてしまいます。

 

復職そして退職

1カ月後、医師から復職診断が出され、人事、上司との面談が実施されました。

復職場所は、倉庫管理でした。倉庫に出入りする業者のチェックをします。昔の仲間との接点も無く、暗く、夏は暑く、冬は凍えつく寒さの中の仕事です。

Tさんは、自分がしてしまったことをせめ続け、悔しさも募り、2カ月後退職しました。家族は、もう少し我慢してほしいと訴えましたが、長い営業経験もあり、自信もあったため、すぐに違う仕事を見つけることを約束しました。

 

現実の厳しさ

再就職活動の面接で、ある企業から、

「法人営業の経験しかない人が、当社の営業はできません。この経歴ではどこも無理ですよ」といわれました。

そのとおりで、面接で断れることが続きました。大手企業で自信を持ってやってきたことが、今の社会状況では通用しなくなったことに気がつきました。

正義感の強い性格で、プライドもあります。家族はバイトでもいいから、働いてくれと頼みますが、野球のコーチも辞めて家に引きこもるようになってしまいました。

無職であることを知られたくないのです。もう、再就職活動も辞めてしまいました。

 

復帰のきっかけは必要とされる人

カウンセリングを始めて6カ月が経った頃、「薬局の品出しの仕事が決まった」と報告がありました。

事情を聞くと、野球のコーチに来なくなったTさんを心配して、子供達や親御さんからコーチに復帰してほしいと、嘆願書が届いたのです。

またチームの優勝に向けて力を貸してほしいとのことでした。

Tさんは感動し、自分が必要とされていることを確信できました。

 

 

現在、野球のコーチとアルバイトをしながら、次の転職に向けて前向きに動き始めました。

Tさんの信頼されている人間力は本物だったのです。まわりに必要とされている実感がTさんを動かしました。