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転職のケースNO.1 ―IT企業から税理士への転職のケース―

2015/11/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

●Sさん、27歳、男性、独身、システムエンジニア入社5年目

Sさんは大学理系を卒業後、IT企業へ就職しました。システムエンジニアとして5年目を過ぎた頃、Sさんの上司からSさんの勤怠についての相談がありました。

勤務中に離席することが多くなり、最近は遅刻、居眠りが見られ、注意をすると「理由はよくわからないが、朝起きられなくなり、仕事に集中することができない」という返事でした。半年前にリーダー職となっており、負担になっているかもしれないので、話を聞いて欲しいということでした。

数日後、Sさんのカウンセリングをしました。顔色が悪く、最初の一言は「休職をしたい」でした。理由は、上司が高圧的な態度で指示をしたり、否定的な言動が多いためで、仕事を続けていくことが困難になり、将来の見通しがたたなくなったと伝えてきました。具体的に聞くと、「リーダーとしての責任感がない」「指示を待っているだけで、部下の指導ができていない」「お客さんの話を聞けず、提案ができていない」でした。

Sさんは、リーダーになる前は、上司の指示も明確だったし、仕事も積極的にこなしてきました。スキルアップのために試験も受け、成果もあげてきました。上司の評価もよく今年は昇格をし、チームをまとめるリーダー職に就いたのです。

しかし、リーダーとしての仕事はSさんが考えていた以上にハードルが高く、じぶんの能力に限界を感じ始めていました。自分をリーダーに推薦してくれていた上司も期待してくるので孤立してしまったようです。上司からは、リーダー職になると、自分で決めなければならないことが多くなり、Sさんだったらチャレンジして成長できるといわれていました。今は上司の期待を裏切ったという気持ちと熱い思いをわかってくれない悔しさが入り混じっている状態です。

 

Sさんのコミュニケーション能力

Sさんと話していて、時々会話が途絶えることがありました。会話がスムーズに行くためには相手の話の内容から「多分こんなことを話しているのかな?」という想像力が必要になってきます。良く空気を読めない人と言われている人は、想像力、創造性が薄いのです。「おっしゃりたいのは、〇×△という事ですか?」と具体的に言い直すと、会話が続きます。Sさんは、コミュニケーションスキルが希薄なため、リーダーとして客先、上司とのやり取りが負担になっていたようでした。

上司との面談

Sさんとのカウンセリングの内容を上司に報告する承諾を得て、上司との面談をしました。上司の指導の仕方が高圧的だと捉えられていたこと、コミュニケーション能力が低いこと、リーダー職の負担があったことを伝えました。上司からのコメントは、入社5年目以降はリーダー職を目指すことが責務になっているため、Sさんと話をして降格をし、一般職で仕事をすること提案するという結論になりました。

 

Sさんの決断

1か月後、Sさんのカウンセリングを実施したところ、Sさんは自分がシステムエンジニアに向いていないのではと考え、転職をしたい気持ちがありました。しかし、何が適職かもわからないこともあり、上司からカウンセリングを受けて気持ちの整理をしてこいといわれて来ましたと、伝えてきました。前回のカウンセリングの時よりは、幾分表情は明るく退職することに納得しているようです。

自分が何をしたいのか、何に向いているのかを話し始めると、こんなことは今までに考えたことがなかった、成り行きで進路も決めてきていたことなどに気がついたようです。

実家は、父が税理士事務所を開業しており、長男であるSさんが後継者になることを望んでいることを語り始めました。

後を継ぐことは一度も考えたこともなく、好きな道に行けといわれていたが、今回の件を両親に話すと、税理士になることを提案されました。

 

IT企業では40代まではスキルアップとすること、40代以降はヒューマンスキルを身につけることが必要となってくる現実があります。そのことを考え、Sさんの能力はIT企業では伸ばせないため、40代以降に苦労することを話しました。まだ若い時に決断することがじぶんのためだ、と十分に理解できました。

また、税理士の選択も親から強要されたのではないかと聞くと、今回税理士の仕事や資格を取るための勉強内容を検討し、自分に合っていると自覚してきたことも伝えてきました。相変わらず、情緒的な会話は少ないのですが、Sさんの強い意思を感じ取ることができました。

 

Sさんは退職後、専門学校に通い、税理士への道へと再出発しています。