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うつ病予備軍は不眠を訴える

2015/10/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

Dさんは37歳男性です。仕事中に突然急な眠気がおき、仕事に集中できないという相談で来所されました。若い頃は、4時間程度の睡眠で体調も良かったが、1カ月前から眠りが浅くなり、朝の3時に目が覚めてしまう。もう一度寝ようとするが、寝付けず朝の6時に目が覚め熟睡感が無く、気分がスッキリしないまま起きています。会社に着くころには仕事モードに入り、PCに向かいますが、2時間ももたず、眠気が来てしまい、ふと気づくと入力ミスをしています。昼休みは会議室でいびきをかいて寝ていると同僚に言われました。

普段の寝つきは良いが、必ず早朝に目が覚めてしまうので、最近はイライラしています。上司のちょっとしたひとことで無性に腹が立ったりすることもあり、冷静さを無くしています。そんな自分に嫌悪感を持つようになっています。

眠らなくてはならないと気持ちは焦るばかりで寝つきも悪くなってきました。熟睡できないため、市販の睡眠薬を購入したが、やはり早朝に目が覚め、疲労感、倦怠感を感じるようになっています。

 

働き方は、タイプA

Dさんの訴えに睡眠不足の原因を聞いていくと3カ月前にプロジェクトへの異動がありました。今までの職場は長年にわたり人間関係も良好で取引先との調整もうまく行っていました。残業も多く休日出勤、深夜残業もこなしていました。上司から振替休日を取るようにといわれていましたが、趣味もなく休日にじっと家にいる方が苦痛でした。1つのことに集中すると周囲のことが見えず没頭します。負けず嫌いで決めたことは最後までやり抜かないと満足できません。結果が全てで、成果を出すことがモットーで全力を注ぎます。疲れを見せず、エネルギッシュなのです。昭和時代の企業戦士並みの働きぶりです。

部下に仕事を任すこともできず、自分で背負い込みます、部下を育てるためにも仕事を振るようにといわれていますが、全てを把握しなければ納得できないのです。

Dさんのように仕事に取り組む思考や性格の人は「タイプA」と呼ばれ、いわゆるワーカーホリック(仕事中毒)のタイプです。タイプAの人は精神力(思考)が勝り、身体に注意を向けません。

当然身体は正直ですから、年齢を重ねて行く40~60代の間に脳、心臓に疾患が出ます。

 

Dさんは新しいプロジェクトの職場で同じように働き続けようと思っていましたが、取引先の会社の方針で残業の制限、振替休日の取得を徹底させていたため、自分の思うような仕事ができなくなったのです。

 

スリープクリニックを受診

仕事全体が見えず、1部のパーツだけの仕事をさせられているように感じ、意欲もなくなってきました。部下や同僚は退社後の時間を楽しんでいるのを見て、羨ましいとは思えず、むなしさを感じてしまうのです。心療内科の受診を勧めましたところ、睡眠の問題だからと拒否しました。そこで、スリープクリニックを紹介し、脳波、心電図の検査を受けることになりました。2週間後に異常は見られないという結果でした。

Dさんは、睡眠の問題で何らかの障害が出ると確信していたのですが、予想結果が外れため、さらに落ち込んでしまいました。

睡眠の問題は脳に心臓、循環器等の身体の面とメンタル面で考えなければなりません。

Dさんは体の疲れやメンタルに対して、自覚が無く、早朝に覚醒してしまうことだけにこだわりがあり、心療内科へ行くことに納得ができなかったのです。

メンタルの問題だと認めてしまうと自分を全否定せざるを得なくなると考えてしまうのです。

「タイプA」的思考は精神的に頑張る分、脇目も振らず迷いもなく走り続けますし、頑固でもあります。Dさんは職場異動により仕事観を変えざるを得なくなったことが睡眠障害の原因でした。

その後、心療内科を受診し「抑うつ症状による睡眠障害」と診断され、1カ月の休職となりました。診断書を提出する時、Dさんは「やっぱり睡眠障害だったんですよ」と満面の笑みを私に見せてくれました。

 

現在のDさん

Dさんとのカウンセリングで彼らしく働けるプロジェクトに異動することになりました。リーダーはできなくなりましたが、非常に忙しくさまざまな問題が起きるプロジェクトで、疲れも見せず、深夜残業もいといません。加齢による身体のチェックもするようにと伝えてありますが、これもDさんの気持ちしだいです。睡眠は以前に戻り、4~5Hで順調です。

 

カウンセリングは何が正しいのかではなく、クライアントの生きて行く方向性をサポートしていく作業であることを実感しています。