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不安神経症の克服

2015/07/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

―Kさん、39歳、独身男性、技術職

Kさんは人前で話すことができず、6年前から話し方教室に通っています。10人位のグループで課題を渡され読むのですが、緊張し、吃音になり、読めなくなります。最後まで、読み終わってグループメンバーからの感想を聞くと、「緊張していた」と言われてしまい、いつまでたっても改善しません。

どうしたら人前で緊張せずに話せるようになるのか知りたくてカウンセリングを受けに来所しました。

 

Kさんの症状

中学2年の国語の時間に、先生から突然教科書を読むように指名されました。その時に、顔が赤くなり、心臓がドキドキしてしまい、言葉が出ません。言葉がやっと出たと思ったら、吃音で最後まで読めませんでした。恥ずかしくて教室から逃げ出したい気分でした。

自分が人前で話ができないのは20年以上も前のことを未だに引きずっているからです。野球部のエースピッチャーで人気者でしたが、心を許せる友人はいませんでした。

以前、父親の借金で抵当に入っていた家を出ることになり、狭いアパートで家族6人が暮らしていたこともあり、友人を呼べず、家族の話もできませんでした。

高校卒業後、デザイン関係の専門学校を卒業しました。そして、従業員10名ほどの広告代理店に就職しました。就職をしたら家を出ることに決めていましたが、適当な物件を探しても決められず、30歳まで実家から通勤をしていました。

1人暮らしができない理由を聞くと、出勤前に「電気」「ガス」「水道」「タバコの火」「鍵の施錠」の確認をするのに時間がかかるので、1人で住むと遅刻をするのではないかと考えるためでした。

就職後、心療内科へ通院し、抗うつ薬・抗不安薬を処方されました。職場で会議があると緊張して手の震え、発汗があり自分の意見が言えません。また、自臭症にも悩み、口が臭いのではないかと人と会話することに躊躇していました。

 

現実検討ノート

カウンセリングでは、どのような状況の時に何を考えているのかを自覚するために「現実検討ノート」を作成し、不安になってしまう考え方について話をすすめていきました。

まず家を出る前の確認行動です。

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■「タバコの火について」

①タバコの火を消したか確認をする

②タバコの吸い殻を水に流して、ゴミ箱に捨てる

③まだ火は完全に消えていないかも知れないので、もう一度吸い殻を取り出し、水につける

④このまま捨てて家を出て、その後火事になったらどうしよう

⑤タバコの灰が洋服についていて気付かず、そのままトイレに入りそこからボヤが出たらどうしよう

⑥10回以上、上記と同じ思考と確認行動をする

■「水道について」

①水道の元栓はきちんと閉めたか

②閉めてあるが、ひょっとしてパッキンが壊れてしまうのではないか

③蛇口だけを閉めても、パッキン以外の故障があるのではないか

④外出した後、家が水浸しになり、下の家から保障しろと言われてしまうのではないか

⑤水回り、トイレ、台所、お風呂の点検を10回以上する

■「鍵について」

①鍵をきちんと閉めたか

②閉めていないと泥棒に入られて家の中を荒らされたらどうしよう

③今日、宅急便が来る予定じゃなかったか

④鍵をかけた時の音を10回は数えてしまう

⑤11回目は外れてしまったらどうしよう

⑥その後、20回以上の確認をする

以上の様に、外出するためにKさんが行う確認行動に要する時間は2~3時間です。

■「就寝時」

①泥棒の心配があるので寝付けない

②会社で先輩に「○×△・・」と言ってしまったが、多分良く思われていないし、明日会社に行ったらなんと言われるんだろう。無視されてしまうのではないか

③話した時に口が臭かったのではないか

④仕事が中途半端で帰ってきてしまったが、上司が自分の仕事を見て明日注意されるのではないか

毎日熟睡したことは無く、睡眠剤を服薬して寝ています。朝目覚めると不安な気持ちが続いていました。

■「その他」

臭いにも敏感で、口臭には特に時間をかけてケアをします。歯磨きに30~40分。歯茎を傷つけてしまうことも度々でした。デンタルリンスは1日で1本を使い切ってしまいます。

仕事中にトイレで仕事の段取りを確認しているため、時間が長く、上司に注意されることも多くなり、悩みは深くなります。

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「現実検討ノート」からKさんの予期不安に焦点をあてました。

現実には結果や答えはありますが、予期不安になってしまう考えに答えはありません。答えが出ない考えをしているため、同じ考えがグルグルとまわり、発展性が無く、解決の糸口が見つかりません。その後、3年間のカウンセリングで、予期不安が軽減されました。

 

結婚願望

「最近、なぜ自分は人前で緊張してしまうのか」と、Kさんから質問がありました。

会社での対人関係は良好で、社内の会議でも緊張することなく、ゆっくりと自分の意見を伝えることができています。外出時の点検も20分くらいで確認が終了し、睡眠も安定してきたので、軽い不安薬が処方されています。

「緊張するようなことがあったのですか?」と聞くと、「結婚を考えるようになり、お見合いパーティーに行ってきました。好みの女性と話をしようと思ったのですが、手が震え、顔が赤くなってしまい、話ができませんでした。やっぱり僕は中学の時の不安をまだ持っていて、結婚は一生無理だと思いました」

Kさんは不安を乗り越えられた自信から、結婚を願い、実現しようとしたのです。日常の生活、会社での状況には対処できる思考を持つことができました。しかし、女性とのお付き合いや会話は新たな現実的思考を身に付けなければなりません。

 

次回は、Kさんの結婚カウンセリングです。