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A子さんの絶望

2015/06/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

「A子さんはB部長との評価面談を受けた後から、休みがちになり現在休職中です。うつ病の診断書が提出されました。そのご、2週間に一度のカウンセリングを継続しています。

実は、評価面談で、B部長から「いつまでもCさん(A子さんの直属の上司)のサポートばかりせずに、今後に向けて資格を取得し、Cさんの後任になるように積極的に仕事に取り組んでほしい。」と、言われました。

A子さんは、「人のサポートをすることがすきで、役に立てているのと、自分でもその方が達成感があります。このままの仕事を続けたい。」と言うと、

B部長は「いつまでも金魚のフンの様な仕事ばかりしていても成長できないぞ。もっと前向きに仕事にチャレンジしてほしい。能力も高いし、期待しているよ。」と、言いA子さんの肩をポンと叩き、退室しました。

A子さんは、その場で泣き崩れてしまいました。Cさんは、面談が終わっているのになかなか帰ってこないA子さんを気遣って会議室に行くと、 茫然としているA子さんいました。

「私の仕事は、Cさんの金魚のフンの様な仕事だったのですか?」と、つぶやきCさんに訴えました。

CさんからA子さんは早退するようにと伝えられ、翌日、心療内科に行き休みを取りました。

 

A子さんの心情

今までCさんのサポートをしてきた事が、金魚のフンの様な役に立たない仕事で無駄な事をしていたと言われたようで、自分が何を柱にして生きて行ったら良いのか分からなくなりました。

私は、Cさんを尊敬していて、指示に従い、ミスのないように全力で頑張ってきました。

残業も苦痛ではなく、経理部のためだと考えてやっていました。Cさんには私の性格や、仕事に対する考え方も伝えていました。

Cさんは理解してくれ、サポートをしてくれることで、自分の仕事の成果が上がっていると言っていました。私は、人前に出て目立つことができず、できれば縁の下の力持ちでいたいんです。私も人の役に立っていると言う実感だって欲しいと思っています。

しかし、性格からリーダーシップをとって人をまとめたり、相談に乗ったり、新しい仕事にチャレンジしたりすることが苦手なんです。入社した時、営業職よりは管理部門での配属を希望する事を伝えたのも、地道にコツコツと一人で仕事をしたいからです。

誰も私の事を理解してくれていない事が分かったんですね。

仕事は一人では出来ない事ぐらい分かっています。尊敬できる上司のサポートができれば、私なりに成長できるんです。部下を持って、自分でも成長できるスキルにチャレンジする事も出来ない私は、どうしたら良いのか分かりません。

こんな私は社会人として通用出来ないと言うことでしょうか?

A子さんは、自分を否定されてしまい、自分を見失ってしまいました。

 

Cさんとのカウンセリング

2か月目の休職診断書を提出した時期に直属の上司、Cさんからカウンセリングの予約の電話がありました。Cさんは、A子さんの承諾を得て来所したことを告げた後、A子さんが休職に至る状況を説明しました。

 

Cさんは、B部長との面談をA子さんの面談前に実施しました。そこで、Cさんは資産管理部への昇格を告げられたのです。課題は、A子さんが自分の後任として指導することでした。

Cさんは、A子さんの性格、仕事に対する考え方を知っていることもあり、責任を持って、仕事をこなしながら部下の指導する事の難しさを伝えました。

B部長から「年数を経て仕事をこなしていき、スキルを伸ばし、リーダー的存在になるための教育を会社は目指しているCさんもA子さんを指導、管理する役割を担って役職に就き、そのための経験をしてきたはずだ。会社としてA子さんにもそのようなプロセスを求めるし、いつまでも一般職で働きたいという社員は、意欲が感じられない。

復職後A子さんの面談でこちらの気持ちを伝える、と伝えられたという状況でした。

Cさんはその後、「A子さんに一般職のままで今のようなサポート業務だけを望んではなく、今後は私の後任ができるように育って欲しい。」と伝えました。

するとA子さんは、「ミスをする事を考えてしまい、責任をとる仕事が出来ない、常に不安を持っているからこそ、上司に手取り足取りで教えてくれる人を求めている。」と伝えてきました。

Cさんは、これ以上A子さんに言えずにいたところ、「B部長の面談できつい事を言われて落ち込んだと思う。私もA子さんをかばえなかった、責任を感じている」と、辛い表情を浮かべていました。

 

A子さんの本音

A子さんが休職に至った大きな要因は、指示待ちで積極性にかけると言うより、今迄Cさんのサポートをしてきた仕事が「金魚のフンだ」と部長に言われた事で、自信を無くしたことであることを伝えました。(C子さんに伝えることに関しては、A子さんの了承済み)

Cさんは驚き、「金魚のフンですか…」、としばらく沈黙が続きました。その後「B部長の気持ちは成長してほしい、いつまでも人のサポートばかりで終えるな、もっと自分の成長を考えろ、という意味で言ったんだと思います」と、ひと言ひと言かみしめるように伝えてきました。

また、A子さんの気持ちを考えると、悔しいのと、自分がA子さんからサポートされて本当に助かっていた事を部長に伝えきれていなかったことを反省しました。

その後、CさんはB部長にA子さんの状況を丁寧に伝えました。

 

 

B部長は思いもかけぬ事実を知り、愕然としました。

そんなつもりで言ったわけじゃないんだが、しかし、今更自分で言い訳をしても始まらない。ここはA子さんに謝罪をすると決心をしました。

 

B部長の思いが言葉に反映されず、A子さんの人格、価値観が傷つけられたのです。

同じ言葉でも、傷つかず励まされたと感じる人もいます。しかし、「金魚のフン」のような例えは、禁句です。