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自分を受入れ前向きに生きる

2015/04/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

前回のあらすじ

社会人になって自分は無能だと感じはじめたAさん。上司から多くの仕事を一度に言われ「仕事の優先順位をつけろ」と言われても抽象的で何を言われているかわかりません。自分でもどうしてこんなになったのか原因がつかめず悩み続けていました。カウンセリングに行きそこで、発達心理テストを受けることを提案されました。

 

Aさんは、大学病院で心理検査を受けました。若い女性の臨床心理師と1対1で2時間程のテストです。

大きく分けると、「言語性尺度」と「動作性尺度」のテストで、小分類は①処理速度②知覚統合③言語理解④作動記憶⑤性格検査の構成になっています。

予約してから実施まで1カ月、結果が出るまで3週間かかりました。

心理検査結果を持参したAさんは「いやー、自分を知りたいと受けたテストですが、どう解釈してよいか分かりません。私の能力は社会人として適応できないという事ですか?」と、私の目を食い入るように見つめ、動揺しています。

提出されたテスト結果には診断名は書かれていません。各項目を折れ線グラフでつなぎ高低差で示されています。

Aさんに説明を始めました。

得意分野は、パターン、法則性を捉える事が出来、手作業は丁寧で素早くこなす能力が高く、集中力があります。

苦手な分野は、①人の表情や変化、しぐさを読み取って柔軟に行動する事です。②コミュニケーションでは、相手の質問に対して、短い言葉で答えることはできますが、文章で表現することに苦労します。③話を聞きながら自分の思考を働かせるといった、同時に二つ以上の事をすることが苦手なため、話を聞いているつもりなのに、忘れてしまう事があります。

ここまでAさんが一つ一つ理解できるように、ゆっくりと時間をかけて説明しました。

Aさんは過去の記憶をたどりながら、相槌を打ったり、表情を曇らせたりしながら聞いていました。

相手との会話がかみ合わず、相手が何を伝えているか、どこに注意を向けていいのか分からなくなる事が多いため、曖昧な返事をして会話を終わらせてしまいます。

思うように伝えられないもどかしさがありつつ、不完全なままの気持ちで仕事を続けていました。

懸命に耳を傾けようとしているのですが、相手の言葉が複雑になればなるほど、記憶にとどまらず、流されてしまうのです。

Aさんの気持ちは、毎日が焦りとプレッシャーに押し潰され、休みがちになっていました。

6年前、「うつ病」の診断で休職したのも大きな要因なのです。

診断書で「うつ病」「適応障害」「抑うつ状態」で提出されると企業としては、発症した要因を見つけ、対策を考えます。

要因は、仕事の量、質(スキル、異動、昇格、昇給)、対人関係、身体的体質、プライベート(家族、湯人、恋愛、借金、事故)などを考えていきます。

ここで大切なことは、性格や特徴的な考えや会話能力も考慮しなければなりません。

Aさんは上司、先輩の仕事上での指示が理解できない状況になると整理ができずストレスを感じ、一人で抱え込んでしまい、精神的に追い込まれ会社を休んでしまいます。仕事の効率が上がらないのは、怠けているのではないのです。必死に考えてみるものの、言語性尺度が低いため空回りしていたのです。

Aさんには得意分野を伸ばすことで、仕事の達成感を持ってもらい、悩みは信頼のできる人に相談することをすすめました。

しかし、診断結果は新たな悩みをAさんに与えたのです。40数年間対人関係での違和感を持っていた現実の答えを突き付けられたのです。

3人の友人と共通の話で盛り上がっていても、Aさんに振られても答えることができず頷くだけでいたこと。妻から「何度言っても分からない人ね」とよく言われたこと。

「アレとって」と言われ、周りの人は分かるのに、自分は分からなかったこと。突然上司から叱責されても、意味が分からず放置していたこと。得意先の客からのオーダーを間違えて発注したこと等数々の辛い思い出の結果がテストに表出されていたのです。

自分を受け入れるためには、時間がかかります。

「社会人として適応できないんでしょうか」と最初に質問をしたAさんに「人はそれぞれの場で適応できる能力があります」と伝えました。

現職場では、Aさんに期待されている能力を発揮する事は難しく、期待に応えられずに悩みが深くなります。

後日、O課長とAさんのことで面談をしました。O課長はAさんの事を理解して、Aさんの能力を発揮できる部署に異動が決まりました。

現在、Aさんは自分の得意分野を活かして、働いています。