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部下の指導に自信をなくした管理職

2015/03/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

Oさん 男性43歳 製造メーカー管理職

43歳Oさんは、部下のAさん(43歳、同期入社、既婚)にどのように接してよいのか悩み、来所されました。Aさんの状況を聞くと、一般職、

勤怠が悪く、月2~3日休み、遅刻、早退が多い。残業はしない。前部署の上司からは、簡単な仕事しか与えられない。性格は穏やかで、第一印象もよい。何とか育ててほしいと言われていた。

異動日にAさんと面談をし、仕事の説明をしていると、「今日は何時までいればよいのか」という質問をされました。今ここでそんな質問する?!と思いながら、「通常業務ですから、17:30までです。」と答えると、「はい、分かりました。」

とノートに目線を落とします。OさんもあっけにとられながらAさんのノートを見ると、何も書かれていません。「ノートをとらなくても理解していますか」と聞くと「大丈夫です」の返事が返ってきます。

仕事内容は細かい作業ですがルーティンワークで30歳女性の補助業務です。Aさんより10歳以上も年下の女性の補助業務でプライドが傷つくのではないかとOさんは不安感がありました。

しかし、今のAさんの状況では、年齢に見合った責任をとるような仕事は任せられないと考え決断しました。Aさんは異動して2週間目に体調が悪いと早退し、翌日は休みました。

Oさんは出勤してまた、Aさんに様子を聞くと朝起きれなかったので休んだ事と英文の和訳が出来ないので、ストレスが高くなり苦痛だと報告を受けました。

大卒のAさんに高卒程度の英語の英語の知識があれば出来る仕事がある事と慣れない環境も考慮して一人でじっくり出来る仕事を与えたつもりでした。

Oさんは血色の悪いAさんを前に英語の仕事から外す事を告げ、Aさんには勤怠が悪くならないように注意をしました。

3ヶ月が経過したAさんの勤怠は安定していました。

朝8:50に出社、定時の17:30に帰社。帰る時は「お先に」と小さな声で席を立ちます。

お昼休みは一人で会議室でお弁当を食べていて、同僚との食事はしていません。お酒も飲みますが会社の宴会が苦痛らしく、欠席をします。

Aさんの歓迎会は本人が辞退した事で開催しませんでした。

5ヶ月が過ぎ32歳のBさんから相談がありました。今職場内の雰囲気が良くない。Aさんの仕事内容は20~30代で成果を上げ、残業している。課員達の1/3~1/4程度で新入社員だって出来る仕事内容である。

しかも、年齢が高い分自分たちの給料の2.5倍を支給されている。なぜ、内の課でAさんの面倒を見なければならないのか?と詰めよって来ました。

Oさんも、Bさんと同じ心境なのですが、即答できずにまた新たな問題を抱え込んでしまいました。

Aさんの入社以来の職歴を見ると、7~8回の職場異動、作業内容は営業から業務、経理、コールセンター管理など様々でした。

入社3年目でうつ病を発症し休職もしています。Oさんは、Aさんが仕事をすることに達成感を持ってほしい、Aさんに合う仕事があるはず、と考えています。

Oさんの上司に話をすると、「お前は甘い。もっと厳しく指導しろ。」と言われますが、同期であるという心情もあってAさんと向き合ってきました。

Oさんの話を聞き、Aさんも悩んでいると思われるので、Oさんからカウンセリングに来るように話を進めてみることを提案しました。

1週間後、AさんとOさんが来所され、Aさんのカウンセリングが始まりました。Oさんからの情報を伝え、一致している事と不一致の確認をしました。

Aさんの生育歴

幼稚園、小学校でいじめにあっていた。おとなしく積極的に発話するタイプではなく気が付けばA君いたんだね、と先生によく言われた。

不登校の経験もあった。背も高く太っていたので、目立つ事も原因だった。ある日、母がスポーツスクールに通って、自分の体を活かして自信を持つように言われた。

それから、学校から帰るとスポーツスクールに毎日通い、自分の体を鍛えた。勉強は苦手で捨てていた。中学、高校、大学も体育会系の推薦で入学した。

学生時代は、スポーツをしているだけで何とか過ごせた。

社会人になって、自分は無能だと感じ始めた。会話の内容が分からない。上司の指示も多くの事を一度に言われてしまうので理解できない。

当然ミスをすると注意され「作業効率を考えてから仕事の優先順位をつけろ」と言われても、抽象的で分からない。

分からないことばかり増えると、休みがちになり自分を責めてしまう。どうすれば自分を変えられるのか分からない。どうしてこんなになったのか原因がつかめず、20年間悩み続けていた。

そして、40代になった自分が年下で優秀な若者と一緒に仕事をしている。能力のない自分が、残業をしながら成果を出している若い人たちからどう見られているんだろう。馬鹿にされているんだろうな、といつも考えて職場にいる。

早くこの場を逃げ出したいと思っているので、終業のチャイムと同時に退社している。会社から一歩出るとすがすがしい気持ちになる。

妻から言われる事も、耳に入らず分からない。なんだか馬鹿にされているんだな、と思う。いつか離婚するんだろうなとも考えている。

Aさんはこのような心境を訴えてきました。抑うつ状態が続いたまま生きているのです。

唯一社内で楽しいのは、一人で会議室で昼食をとっている事でした。Oさんはこの事実を知っていましたが、Aさんが一番リラックスしているとは思っていません。

誰も相手にしてくれないから寂しく食事しているという認識でした。食堂もあるが、大勢の前で自分をさらけ出せなかったのです。

みんな管理職になっているのに43才で一般職、仕事ができない男が会社で一番リラックスできる時間が一人で妻の手作り弁当を食べている時で、場所は会議室だったのです。

Aさんとのカウンセリングの中で、発達心理テストを受けることを提案すると、自分を客観的に知りたいと言う希望もあり、上司と情報を共有し、大学病院でテストの予約をしました。

予約待ちで、1ヶ月後に実施されます。