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50代、管理職の不安

2014/11/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

1980年代、企業に入社した40~50代の社員は終身雇用の制度があり、定年まで働ける希望を持っていました。しかし、1990年代にバブル崩壊を迎え、終身雇用での安定した状況ではなく、成果主義の導入を強いられました。

企業は経費節減を掲げ、海外へと進出、リストラも始まり2000年以降は失業率が5%台へと数値が上がり、正社員の雇用を減らし、派遣社員の採用を進めてきました。結果、40~50代の社員は生き残るために様々な試練を乗り越えてきました。バブル崩壊と2008年のリーマンショックで、日本の企業で働く人たちは人生観さえも変えざるを得なかったのです。

また、パソコン(PC)の復旧率は目覚ましいものがあり、技術に追いつけない40~50代の社員は、若手社員から疎まれる存在になったケースも多々ありました。

今回の事例は、こうした時代背景に翻弄されながら生きてきたサラリーマンの悲哀のドラマです。

 

事例 55歳 営業部長(不動産)

入社32年を迎えたAさんは、休職して10カ月を迎え、来月復職することになりました。

体調不良になったのは、1年前に地方から本社に転勤が決まり赴任して3カ月後でした。朝起きると胃がムカムカして吐き気があり、当日は風邪をひいたと思い内科を受診しました。薬を処方してもらい1日休めば回復するだろうと思い、早めに就寝しました。

翌朝も同じ症状で目覚めも悪く、めまいもありました。Aさんはこの症状が以前、上司が休職をする際に聞いた症状に似ている事に気が付きました。

「ストレスが原因だ。心療内科か」Aさんにとって心療内科の受診はハードルが高くどうしても足が向きません。午後出勤をし、風邪が長引いているという報告をしました。

3年前に地方に単身赴任をし、業績を上げた結果の本社栄転なだけに、ストレスとは言えない状況でした。なんとか休まずに出勤をしなければ行けないと焦り、ストレスの原因に心あたりがなく戸惑っていました。

Aさんはバブル崩壊後も売り上げを伸ばし、社長賞にも表彰され社内でも名前を知らない人はいません。仕事は過酷で深夜にまでおよび、接待も積極的にこなします。部下達にも尊敬される反面、Aさんのがむしゃらな仕事に対する取り組み方に反論する人もいました。

「営業は結果だ」と強い信念を持っています。

プライドも高く、自身もあります。Aさんの今までの成果の右に出る人はいません。本社での実績次第では役員の地位に就くことを約束されていました。

部下の指導も厳しく、会議では声を荒げ叱責する場面もありました。

ある日、B課長(35歳)から部下の休職届けが出ている報告を受けたAさんは診断書を見るなり、「ただ怠けているだけだ、甘えているんだろう。俺の時代は叩かれてやってきたんだ。弱すぎる。もっとやる気を出すように教育しろ」と伝えました。

その後、B課長との関係がぎくしゃくし始めたのです。

会議の召集、スケジュール調整、成果の報告など、打ち合わせでのB課長はAさんの問いかけにも返事が曖昧になってきました。

Aさんは成果が出ていないのは一時的なものだろうと思い、普段任せていたPCでの資料作りを頼んだところ、「自分でやってください」と言われました。

PCの苦手なAさんはエクセルでの資料作成はすべて部下に任せてあり、PCに関してのスキルはありません。

Aさんは慌てて、「B課長の仕事だ」と強く言いましたが、「その程度の資料位やってもらわないと、こちらの仕事に支障をきたしますから」と冷たく返事が返ってきました。

Aさんは、何も返事が出来ず、入社3年目のCさんを呼び、資料作成の説明をしたところ、「課長の指示があって部長の資料作成はしなくていいと言われたんで」と断ってきました。

理由を聞くと「自分が苦手な事だけ押し付け、後は頭ごなしに怒鳴り散らすだけ。人の話も聞かず強引過ぎる。これでは皆潰れてしまう。部長にもパソコンぐらいは勉強してもらいたい」と言う事でした。

Aさんは業務命令であると思いつつも、自分でPCの操作が出来ない事で部下に頼ってばかりいられないと日ごろから考えていました。

しかし、成果を出す事のプレッシャーと指導に時間を取られ、PCに触れる時間もありませんでした。

 

その後、Aさんは心療内科を受診、抑うつ状態であると医師から告げられた時はなぜかホッとしました。

休職をしてPC教室に通いたいと思うようになりました。

来月復職するAさんは、PCに対するコンプレックスはなくなりました。

役職は降格となりましたが、気分は安定しています。