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生きる

2014/09/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

S子さん 36歳、結婚8年目、経理事務年目(主任)

夫 38歳、父の会社を引き継ぎ自営(工務店)

 

S子さんは4か月前から、不妊治療を始めました。結婚当初は仕事が楽しく子供が欲しいとは考えられず、残業もこなし、家事も率なくこなしていました。

20代後半から、「家族が増えました。」という文章と写真入りの年賀状が友人から届くようになりました。「子育て大変だろうな。頑張ってね。」と言う気持ちは湧きましたが、

子どもができない、羨ましいとは思わなかったのです。

子どもの事は。夫も妻が望まないのであれば、夫婦二人で暮らすことに何の支障もないと考えており、妻任せの処もありました。

2年前の1月、義理の姉(夫の姉)が不妊治療を始めた事を聞き、頑張ってほしいと漠然と思いましたが、心の片隅に何故自然妊娠しないんだろうと言う疑問もありました。

姉に率直に聞くと、夫の方に問題があった事実を聞きました。不妊の理由は妻の問題とばかり考えていたことを否定せざるを得なくなりました。

夫側の問題もあると考えるとしたら、私は夫に検査に行ってくれと頼めるのか…と戸惑いの気持ちもありましたが、まだ先の事だからと考え落ち着きました。

義姉が不妊治療から2ヶ月後、体外受精で妊娠した事を知り、私にも姪か甥ができるのだな、と嬉しく思いました。

義姉が無事に女の子を出産し、姪が1歳の誕生日を迎えた日に、夫が「うちも子供がいたらこんなに楽しいんだろうな。」とつぶやいた一言にショックを受けました。

夫は子供を望んでいた事を知りました。

結婚して1年もすると、子供はまだなの?子どもはつくらないの?と周囲の人は質問してきます。

結婚すれば、当然子供は生まれ、一人っ子よりは二人以上だと考える人も多く、ご多分にもれず、S子さんの両親も会えば「子供は?」と言ってプレッシャーを与えていました。

しかし、S子さんは経理のプロとして、資格も取り、会社の信頼も厚く、総合職目指しており、来年は課長になる予定でした。子供を育てながらの総合職として働くことは難しいと考えていました。

世間から何と言われようと自分の選択していた道を歩いて行こう、夫も私の仕事を理解してくれていると思っていたので、友人が妊娠、出産したことにも動揺しなかったのです。

 

夫と将来の事について話し合いました。子どもが欲しいか、子供が出来ると夫婦がどのように変わっていくかのメリット、デメリット、希望、失う物について話し合いました。

夫の本音は子供がいることで、働く意欲が湧いてくる、支えてあげたい、守りたいという気持ちになり、仕事にも反映されて頑張ることが出来るという事でした。

S子さんは、自営の夫の支え(経理の補助作業)、家事、自分の仕事をこなしている現在、子育てをすることがオーバーワークになってしまう事をつたえました。

夫は、妻が総合職として働いていることも理解し、協力もしている事もふまえて、子供がいることで夫婦が様々な事を乗り越えて行くチャンスだ、と強く訴えてきました。

S子さんも子供がいることで、心が安らんだり、自分の世界が広がることも知っています。

しかし、どうしても仕事を辞めることは出来ないと考え、実家の母の援助を条件に子供作りをすることにし、子どもが産まれた後の仕事のやりくりについても、考えることが出来ました。

 

産婦人科でS子さん、夫の双方の検査後、医師から不妊の原因は夫にあると伝えられました。

医師から夫に説明をしたいと言われ、当日夫に伝えると、「そんな、、、俺の問題なの?」とショックを隠せず、混乱していました。

 

結果、夫の治療と平行しながら不妊治療を始めました。

月1回しか無いチャンスで受精をしなければ、翌月にチャレンジするという、とても機械的な作業になります。

不妊治療は大学病院でなければ莫大な費用がかかります。今月不妊という結果になると、また来月の費用とシステム化された子作りをするか決めなければなりません。

S子さんは現在4回目の不妊治療中です。今回失敗したら、効率の高い体外受精に切り替える事に決めています。

しかし、この4か月間、夫とS子さんはイライラすることが多く、喧嘩になることが多くなりました。

S子さんは「子供が欲しいと言っておきながら、今迄不妊だったのは夫の問題だった。こんな苦しい治療は私だけで、夫は精子の提供だけで気楽なものだ」と考えています。

子どもが欲しいと夫が言わなければ今私はこんなに苦労していないのに、と考えてしまうなど、不妊治療は女性にとって精神的ストレスを与え、産む喜びという感情を喪失してしまいます。

 

S子さんと夫のカウンセリングは月2回で今も継続しています。

S子さんの本音を伝えると、夫はバカにしていると激怒し、S子さんもそれに応えるように、子どもをつくる必要性が無いのであれば治療を止める言い張り、最終的には何のために結婚したのか、これだけ価値が合わない二人が子作りだなんてありえない話だと、極論にまでエスカレートした日もありました。

S子さんは、不妊治療をする辛さ、出来なかった時の落ち込み、また来月にチャレンジしなければならない持続力の無さや希望を持てなくなってしまう気持ちを夫に理解してほしいのです。

S子さんは、夫も協力してくれていると実感しているのですが、「夫の精子の問題」にこだわっていて、夫も「自身の問題」に執着しているため、夫婦関係もギスギスしています。

 

まだ不妊治療は続くと思いますが、もう少しS子さんを見守っていきます。