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定年後の夫との生活に疲れた主婦

2014/08/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

B子さん(60歳)専業主婦、夫(67歳)は2年前に定年。子ども二人は結婚してそれぞれ独立し、孫が3人おります。

B子さんは、28歳の時に社内で知り合ったAさんと結婚し、その後、夫の希望もあり、専業主婦として、出張の多い夫のサポートと育児に専念してきました。

夫は2年前、43年間勤めた企業を定年退職しました。

 

B子さんは、夫婦=夫との生活に疲れ、心療内科でうつ病と診断され、「医師からカウンセリングを受けるように言われた」と娘さんに付き添われ来所しました。

B子さんの表情は暗く、顔色も悪く、手も震えていました。

事情を聞くと、1年前から不眠が続き、頭痛・吐き気が始まり、家事も出来ず、ふさぎ込む日が続いていました。

B子さんは、友人も多く明朗な性格で、家事もてきぱきとこなし、趣味は絵を描くことと、庭の手入れです。

夫が退職した日は、これから二人だけの生活が始まるんだなと思うと、楽しさと一抹の不安を感じ、複雑な気持ちでした。

 

翌月から夫は、食器棚の配置と食卓の位置が良くないと言い、家具の配置を変えるために間取り図を作り始めました。

夫がスケールを持ち、ノートに書き込む姿を見たB子さんは、今まで作り上げた家を壊されるような気分になりました。

また、夫は庭の花壇に目を向け、新種の花を買ってきては植え替えを始めました。

停年後にしたかったことは、家の模様替えと、花壇の手入れだったんだと改めて思い知らされました。

1か月後には、夫仕様の家に様変わりしてしまい、B子さんの居場所がなく、今まで自分が作り上げた物を全否定されてしまい、孤立感が強くなりました。

 

夫の仕事観は、「成果を出さずして仕事とは言えない」が口癖でした。

その分評価も高く、地位も上がってきました。部下に対しても、成果を求めますから、厳しい上司で指導力もあります。

企業統合も乗り越え、眠れぬ夜もありながら、翌日、海外主張に出向く日が続き、ハードワークをこなしてきました。その分、家の事はB子さんに全て任せて、仕事に打ち込めたのです。

定年退職日を早く望んでいたB子さんは、これで夫は仕事から解放されると考えていました。

しかし、長年の仕事の取り組み方や、考え方はすぐに変わりません。

B子さんは、退職3日目に夫に頼まれた用を済ませ、夫に報告すると「ごくろうさん」と、まるで部下に言う口調で言われたことが印象に残っていました。

私は「今日から夫の部下になるのかな」と、始めて感じました。

 

惣菜をつくり、器を出そうとするとあるはずのところに食器がなく、あちこち探すことが多くなりました。毎日食器の位置が変わります。

食事作りに不自由な台所でも不満も言えず、感情を抑圧していたのです。

B子さんは、長年、家族のために働いてきた夫に、自分の不満な気持ちをぶつけると、夫の楽しみを奪うような気がして言えませんでした。

 

ある日、B子さんは無意識に夫の背広をハサミで切り刻んでいました。そんな姿を見た夫は「何をしているんだ!!」と大声で怒鳴りハサミを取り上げました。

B子さんは、「もう働かないんだから、背広はいらないでしょ」と言いながら泣き崩れました。

夫はB子さんの言っている意味が分からず、異様な光景に戸惑いました。

 

定年後の夫婦の過ごし方は、それまでの価値観を見直す時期なのです。

定年後の男性は、自分の好きな事をして、今までの仕事から解放されたいと考えています。家族のために働いてきたという強い観念もありますから、自由さを求めるでしょう。

 

また、働く夫を支え、家事、育児をこなしてきた妻は自分なりのルールを決めてきました。

 

夫婦は退職をする1年前から、具体的に定年後の生活を話し合う事が必要です。

今までの生活習慣や、時間、年金、趣味、友人関係、老後の生活等、多くの事を見直す良い機会と考え、それぞれの新しい出会いからスタートして見てはいかがでしょうか。