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管理職は心を病む部下にどう対応したらいいのか(その4) 部下を追い詰める上司

2014/01/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

若い人の甘さに戸惑う上司

Aさん(36歳独身)勤続14年、営業部内から技術部門へ異動後、B部長の強い叱責を受け、休職中です。

Aさんとのカウンセリングでは、上司に対する悔しさ、怒りの感情が伝わってきました。

私は上司であるB部長とも面接し、Aさんに対する気持ちを聞きました。

若いころ、サラリーマンとしての心得をきびしく叩き込まれたB部長の信念は自信に満ちており、

「叱責は本人のためであり、精神的な強さを持ってほしいという願いからです」ときっぱりいわれました。

最近の若い人たち(20~30代)の仕事観(図表参照)を伝えると、

「ありえない!甘えている。これでは仕事に対して、目標もなく、だらだらとこなしているだけですね」

と、感想を述べられました。そして

「どう接すればよいのか。叱る事もできないということか……」

とため息をついていました。

 

その後のAさん

Aさんは、会社の介護休職制度の休職に切り替えました。

最近は企業の介護制度も充実してきており、今は安心して母の介護にあたっています。

Aさんとのカウンセリングは月に一度実施しています。

B部長に対する失望感や怒りはおさまってきましたが、復職後どのように接してよいのかと言う戸惑いがありました。

「自分は認められていない。仕事のできない人間だ」

「人前で無能な人間だと言われた」

「営業で実績を出していた事は全く評価されていない」

「休職中にもフォローがなく、他人事のようで、部下を育てる認識がない」

等々。

Aさんの話の内容からは「上司が悪い」と言う強い思いが伝わってきました。

Aさんが自分の心のつかえを吐き出して、少し落ち着いた後に、私は、休職する前に無断欠勤してC課長と人事担当者が自宅に出向いたことをどのように考えているのかを聞きました。

「疲れていて、朝起きられず寝過ごしてしまったんです。風邪で休むと前の日に連絡したのだから翌日連絡しなくても風邪が長引いていると考えてくれればいいのに……。まさか家まで来るとは思いませんでした」

「連絡しなかったことは、確かに悪いと思っています。だけど、小学生じゃあるまいし、家に来ることはないと思いますけどね」

と少々不満そうでした。

無断で休んだことへの反省はあまりないようでした。

 

Aさんを立ち直らせたひとこと

その後Aさんは、会社でB部長、C課長と話し合いをしました。

その結果を聞きましたところ

「B部長が謝ってきたんです」と報告してくれました。

「客先で叱責したのは悪かった。上司としての責任を感じている。帰社してから注意をするべきだった」

「人格を否定しているつもりはないので誤解しないでほしい。君の能力は認めているし、今後も期待している」

こう言われたそうです。

どう思いましたかと聞くと、

「B部長がここまで自分の事を考えてくれていることがわかって嬉しかった。会社を辞めようと思ったこともあったのですが、今は母の介護を精一杯やれます。とてもありがたいです」

と、明るく答えてくれました。

Aさんは、B部長の誠意に感謝しており、心のつかえもなくなっていました。

B部長に現代の若者気質を伝え、そのことを理解してくれた結果がAさんの心を動かしてくれたと推察できました。

B部長の叩き上げられた仕事観と現代の若者の仕事観には相当のズレがありますが、管理職が若者の価値観をある程度受け入れ指導していくことが必要な時代になったようです。

(完)