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管理職は心を病む部下にどう対応したらいいのか(その3) (続)部下を追い詰める上司

2013/12/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

前号までのあらすじ

Aさん(36歳:独身)は勤続14年。入社以来、営業部門で高い評価を得てきました。そして1年前、突然、技術部門へ異動しましたが、引き継ぎはなく、かつ専門的。戸惑うことの連続でした。

そして、B部長から「成果が全くみられない」ときびしく叱責されました。

Aさんは、その後、不眠症状があらわれ、ついに3カ月の休職に到ります。

3カ月後、部長から電話で「具合はどうか?休職期間がまもなく終わるので早く出てきてほしい」といわれました。

 

Aさんは、部長から威圧感を感じとり、さらに落ち込んでしまいます。そして、休職延長の診断書が再提出され、私は、人事担当者と話し合うことになりました。

実はAさんの畑違いの異動は、前任者の突然の休職によるもので、それもB部長とのあつれきによるものでした。

B部長から話をうかがいました。B部長はAさんを励ましたいという気持ちで叱責していましたが、メンタル不全に陥った原因が自分にあるという認識はありませんでした。

B部長は、長いサラリーマン生活でつらい経験を何度も乗り越えて今日を築き上げました。自分に対してもきびしく、

部下に対しても「サラリーマンは根性がなければいけない。耐える気持ちがないと務まらない」と言います。上司との付き合い方や仕事に対する考え方は、自信に満ちています。

 

B部長の想い

Aさんに対して厳しく叱責したのは本人の将来の事を考えた上でのことでした。「早くでてきてほしい」と電話したのは、休職が長引くと職場に戻りづらくなったり、人事考課にも影響が出ることを懸念したためです。

B部長自身、会社主催のメンタルヘルス研修を受けたことがありますが、管理職として部下がメンタル不全にならない為だけに接するわけにはいかないと考えています。

「仕事が多忙を極めていれば、つい部下を怒鳴ってしまうこともあるんですよ」と言葉を濁しながら、次のエピソードを語り始めました。

「Aを取引先で叱責したことがあるんです。Aが作成した見積書を提出したところ、取引先から数字が違っていると指摘されてしまったのです。わたしがちゃんと目を通しておけばよかったのですが……。取引先に対してこう取り繕ってしまいました。

『申し訳ありません。こんな単純なミスをしてしまい……。能力のない奴なんです。鍛え直します』

今になって考えると、Aにとって屈辱的だったのかもしれません。しかし、仕事上のミスがあれば、取引先であろうと、その場で指摘されるのは当たり前のことだと思います。やっぱり今の若者は打たれ弱いんですね」

 

Aさんが休職に到った経過

10月号に掲載したようにAさんは慣れない仕事の上に、母の介護にも追われていました。休日は一日中介護。平日も夜中・早朝に車椅子の母をトイレに連れて行くのが日課です。

すでに体は限界に達していました。そのためミスや遅刻が目立ちはじめたころ、直属の上司のC課長が声をかけました。

「最近体調が悪いのか」

「すいません。気を付けます」

このときは、夜更かしでもしたのだろうと、あまり気にもとめませんでした。

それから1週間後、Aさんから「風邪をひいたので休む」と連絡があり、翌日は連絡もなく欠勤。何度か電話したのですが連絡が取れず、休み明けには出てくるだろうとC課長は考えました。

しかし、休みが明けても、連絡が無いまま欠勤が続きます。安否確認のため人事担当者とC課長はAさんの自宅を訪問しました。ドアを何度も叩いても応答はありません。管理人の立会いで鍵を開けようとしたところ、パジャマ姿のAさんが「何か?」という顔で出てきました。

人事担当者とC課長の顔を見るなり、「今日は出勤日ですよね、体調が悪くて起きられなくて……」

その場で心療内科に行くことを約束し、人事担当者とC課長は帰社しました。

それから2日後に診断書が郵送され、休職に到ったのです。診断名は「抑うつ状態」でした。

 

昔とは異なる若い人の特徴

Aさんの休職の原因の一つはB部長の強い叱責でした。本人のためを思っての叱咤激励が、かえって本人を追い詰めていたのです。

特に20代から30代の若い人たちには、次のような特徴がありますので、それをふまえて部下に対応しないと、同様の問題が再度起きる可能性があります。

①仕事はチームで仲良くするムードが大事である(孤立を嫌う)

②失敗を恐れ、指示待ちになる

③プライベートを大事にする

④上司との飲み会を嫌う(威圧的だったり、酒の席での説教はNG)

⑤自分の意見を言えない

⑥叱られて育てられていない(盾の教育をされていない

⑦先輩とは仲良し平等感を持っている。先輩は面倒を見てくれるものと考えている。

(つづく)