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働く女性の心の病 (その7) 低い自己評価で負の連鎖に陥る

2013/07/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

A子さん(26)は経理事務4年のOLです。

最近、仕事のミスが目立っています。自分でも何が原因かよくわからないのですが、集中力がなく、ただボーっとしていることが多いようです。

そのうちに頭痛や吐き気の症状がでてきました。同時に眠れない夜が続くようになりました。こうなると意欲もなくなり、出勤も遅刻がち。上司の勧めで心療内科を受診し、「抑うつ状態」と診断されました。

現在、休職期間が延長され6カ月になります。

 

いつも控え目なA子さん

A子さんはとても控えめです。積極的に人間関係を作ることは苦手で、昼食はいつも一人。職場の歓送迎会なども、しぶしぶ出席するといった具合で、みんながわきあいあいのときでも、ひとりで浮いています。

仕事は指示されたことは完璧にこなしていますが、上司からは「目標を上げてスキルを身につけるように」といつも言われています。

上司の勤務評価は悪くないのですが、期待に応えているとはいえません。

ある日のこと、職場の6人で残業をすることになりました。

夕食や休憩時間に、みんなは談笑していたのですが、A子さんはそれに加わることができません。

そのとき、先輩の女性社員から

「A子さんは結婚を考えているの?」

「付き合っている人いる?」

「子どもは欲しいの?」

と矢継ぎ早に質問をされ当惑してしまいました。

先輩はA子さんもみんなの輪に加われるように配慮して質問をふったのでしょうが、A子さんは答えることができません。

「先輩は結婚もできない、仕事もできない私を見抜いて、会社を辞めさせたいんだな……。今日もミーティングのときに一人浮いていたし、みんなとの会話にもついていけない……」

A子さんは先輩の質問をこのように受け止めてしまいました。

 

ミスしたくない、嫌われたくない

A子さんが人と交流を持ちたくない理由は嫌われたくないからです。そして、自分のミスを指摘されるのではないかと常に不安なのです。

「私はミスをする人間だから、みんなと一緒の仕事はやりたくないんです」と語りながら、こんな考え方しかできない自分をふがいなく思っています。

「みんなは“前向きに!”と言い、“ミスはするものだ”とも言うけれど、実際に私がミスをしたら、上司からはきつく注意されたし、周囲の態度もよそよそしくなり私を無視しているようでした」

A子さんはカウンセリングでこのように語りました。

社会生活をしていれば、次のような場面に出くわすことはよくあります。

*非難される

*妨害される

*笑いものになる

*拒絶される

*誰も助けてくれない

 

実際にこのような体験をすると、また同じような体験をするのではないかと不安に感じることがあります。

この不安が過度に増幅されると、動悸、冷汗、胃痛などの生理的変化が起き、仕事をするのが困難になったりします。

そして、逃避行動や過剰な予防をするようになり不適切な行動をとります。

A子さんの場合は、自分を守るために次のスタンスをとっています。

①自分は迷惑をかける人間だ。だから人とは交流しない。

②自分がやらなければならないことは完璧にやりとげる。

③嫌われる性格だから友人は作らない。

④仕事は指示されたことしかやらない。

 

自分を低く評価し、守りを固める

A子さんは自分に対する評価がきわめて低く、仮にうまく行ったケースがあっても、それを素直に評価しません。

「成功とはいえない。失敗だ。私はダメな人間だと証明された」と考えるのです。そして落ち込み、自虐的になり、閉じこもってしまいます。

こうして、さらに低い評価を自分に下して守りを固めるのです。

 

ひとりでいる居心地を自分の意思で

以上の考え方で自分を守ろうとしても、現実には守りきれません。

A子さんもこの負の連鎖を断ち切るために、自己評価を変えなければならないでしょう。

A子さんは例えば子どもの頃「みんなと仲良くしなさい」といわれたことを忠実に守っている数少ない大人かもしれません。

大人になると、誰とでも仲良くはできないし自分と合わない人がいる、と気づきます。それでもコミュニケーションスキルを身に付け、苦手な人でもなんとか協調して生きています。

人と協調しろと言っているのではありません。一人でいる居心地を自分の意志で選択できることが大切なのです。

A子さんのように低い自己評価で他人を遠ざけながら守勢で生きていくのは辛く苦しいものです。