働く女性の心の病 その2 鬼の女性課長 | BLOG | EAPとメンタルヘルスの事なら、みらい総合心理研究所へ

  • 11:00~18:00(最終受付 17:00)

  • 045-228-7171
  • 何でもお問い合わせ下さい

働く女性の心の病 その2 鬼の女性課長

2013/02/01
ロゴ

みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

当研究所に来所される女性の8割は不安からくる症状を訴えます。対人関係や将来に対する不安に悩まされ、又、過去にとらわれ、現在も不安の中で生きている女性は、仕事や家庭、そして体にも障害がでることがあります。

働く女性の場合、年齢、結婚歴、ライフスタイルなどで不安の中身も違います。

前号ではパーフェクトウーマン(世間や会社から常に高い評価を得られないと安心できない成功志望型)と、ウェンディージレンマ(ナルシシズムで夢だけを追いかけ現実感のない男性の母親役を演じてしまい別れることができない女性)のケースを紹介しました。

今月は社内で鬼の女性課長といわれた40代の独身女性のケースを紹介します。

 

<事例3>A子さん(42)、IT関連企業の課長、独身

キャリアウーマンの子さんは30人の部下を持つラインの課長です。自分より年上の男性社員を部下にもち、新入社員等の指導もしながら、深夜まで残業し、精力的に仕事をこなしています。

社内では鬼のA子といわれるくらい厳しく、会議では発展性のない発言や言い訳等は通用しません。部下が休みたいと言ってきたときには、必ず「あの件はどうなっているの?これはできたの?」と進捗状況を問いただし、休みづらくさせます。激務で心身ともに疲れ果てている部下に対しても、休暇を認めません。

管理職である以上、自分が先頭にたって働かないと部下はついてこないというのが信条で、仕事が趣味というくらいプライベートもなく働きづめの毎日です。

 

部下が抑うつ状態で3カ月の療養

ある日、そんなA子さんにB君(32歳既婚:係長)から診断書が提出されました。抑うつ状態で3カ月の療養が必要とあります。

A子さんは「何が原因で休むの!」とききましたが、B君は「特に原因らしきものは分かりません。不眠が続き頭痛・吐き気があり集中力がなく、今、自分が何をしているのか分からない状態なんです……」という返答でした。

B君が3カ月休職すると他の部下に負担がかかります。増員の余裕もないためB君のサポートをしていたC君(29歳既婚)に引き継ぎを頼みました。

C君にはとりあえずB君が復職してくる3カ月間だけ頑張ってほしいと伝えました。

C君は生まれたばかりの子供がいて夜泣きと残業のため大変な毎日が続いています。

3カ月もすれば子供の夜泣きもおさまるだろうし、B君が復職するまではなんとかこなしていこう、と休日出勤してがんばりました。

こうして2カ月後、C君の遅刻が目立ちはじめます。ついには午後出勤が多くなってきました。

A子さんが遅刻の理由を問いただすと、

「仕事が順調に進まず納期に間に合いません。一人でこの仕事をこなすのはムリです」という答えでした。

ここはA子さんがC君をバックアップすることで、あと1カ月、B君が復職できるまでがんばろうと話し合い、なんとか1カ月を乗り切ることができました。

 

さらに3カ月の療養

しかし、やれやれと思ったのもつかの間、復職してくるはずのB君はさらに3カ月間の休職診断書を提出したのです。

ついにC君はA子さんに訴えました。

「このプロジェクトから抜けさせてください。今のやり方ではついていけません。課長は独身だから仕事に集中できるでしょうが自分は家族があるのです。みんなが課長のように仕事に集中できるわけじゃないですよ。部下に自分のやり方を押しつけ自分だけ苦労しているような言動はやめてください」

A子さんは「独身だから仕事に集中できる」という言葉が心に刺さりました。

 

A子さんの自問自答

「42歳独身で女性課長か……。結婚を考えなかったわけじゃない。事情があったんだ。老後は一人だし、そのためにマンションを購入。休日に家族連れを見ると複雑な気持ちになる。子供だってまだ産めるかも、とつい考えるが現実的ではないと考えなおし『消去!消去!』と自分の妄想を吹き飛ばしている。

結婚している男性部下から『あんなきつい性格で結婚できるわけない』などという陰口も聞こえてくる。

いまさら結婚なんて考えたくもないし結婚ってそんなに楽しいことばかりじゃない。子育て、夫婦のいさかい、介護とか、いろんな問題を抱えこんでしまう。

私にはそんな問題を乗り越える力もないし男性に守ってもらいたいと媚びるよりは一人で耐えていくナマイキな女でいた方が似合っている。仕事の評価を上げることは私の人生そのもの。仕事に打ち込むってことは男性にとっては当然でも、女性には不必要なことなの?」

A子さんの悩みは続きます。(続く)