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経営の視点からみたメンタルヘルス(中)

2012/11/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

メンタルヘルス問題は放置しておくと企業の経営上の大きなリスクになりかねません。それは職員個人の労働意欲や生産性の低下にとどまらずコンプライアンス違反や大事件・大事故につながりかねないのです。

したがって職員のメンタルヘルス問題に対して企業ぐるみで対応しなければならないのですが、多くの職場では、それを個人の問題ととらえ、人事・総務・産業医まかせになっているケースが多く見受けられます。

 

前号(10月号)ではメンタルヘルス問題のリスク(損失)の深刻さと最も大きなウエートを占める「うつ」の基礎知識を解説しました。

今月号は部下が「うつ」に陥った場合の上司の対処法を考えます。

対処法を段階的にみると

①受診を促し必要があれば休職に導く

②休職中の本人へのフォロー

③本人の職場復帰にかかる配慮

があります。

そして本人はもちろんチーム全員に対する目配りとふたたびこのようなことが再発しないよう手を打つことも重要です。

 

1 長期休養

(1)部下を休養させる

上司は部下が元気に仕事をしているか毎日見守る必要があります。具体的には「けちなのみや」の症状がないかチェックします(け:欠勤、ち:遅刻、な:泣き言をいう、の:能率の低下、み:ミス・事故、や:辞めたいといいだす)。また、眠れない、食欲不振、疲れやすい、などの症状があれば要注意です。

部下がそのような症状に該当し「うつ」に陥ったと思われる場合は、すみやかに診察を受けさせ、休養が必要な場合は診断書を人事に提出します。人事担当者を交えて本人には休職中の心構え等の話をします。

上司は休職中の部下に返信不要の職場状況報告のメールを送信して下さい。ただし本人の体調が安定している時期に限定します。症状が回復してくると本人は「皆に迷惑をかけているのではないか。仕事はどうなっているのか。復職しても仕事があるのか……」

などと不安を持ち始めますので、上司のメールはとても大切です。

 

(2)チーム全員で乗り切るための配慮

部下が休職にはいるときは、まず休職期間を把握し、その期間をチーム全員で乗り切るようにマネジメントします。仕事の割り振りや、状況によっては増員も考えます。本人が復職する場合のことを考え課員には病名を伝えないほうがいいでしょう。うつ症状による休職者は慢性的な脳の疲労を回復するため通常3カ月程度の休職が必要です。

休職が長引く場合は再度仕事の調整をし、チーム全員の仕事の量と質に注意します。特に残業など仕事の負担が大幅に増えた部下には、前述の「けちなのみや」の症状がないか面談して、仕事量の調整や人員配置に配慮してください。

 

(3)休職に追い込んだ原因の改善

医師から「職場不適応」と診断された場合は、仕事が適していないケースと職場の人間関係(上司、取引先、同僚)がうまくいかないケースが考えられます(適していない経理や営業等に配属されて追い詰められている人は多い)。

他部署への異動はストレスが高まるため、休職者は通常、元の職場に復職するのが原則ですが、職場不適応の場合は異動させることも考えます。

原因がプライベートの問題である場合は専門家、専門機関で相談するようにすすめてください。

 

2 復職は元の能力の60~80%程度で

本人が復職してきた時は人事担当者、産業医から勤務時間、残業の有無、作業量についての注意点を聞きます。

多くの復職者は元の能力の60~80%程度で復職しながら段階を踏んで取り戻すのが原則です。

目安は3~6カ月程度ですので周囲の職員にも伝えておきます。本人にもそのくらいの時間をかけて元の仕事ができるように話します。

周囲にも復職してすぐ元の仕事ができるわけではないと伝えておきます。周囲はいつまで負荷の高い仕事をしなければならないのかという不満や不安を持ちやすく復職者と社員との微妙な心理的ストレスを解消しなくてはなりません。

特に復職した直後は緊張していますので体調をくずしやすく欠勤遅刻をしがちです。気軽に声をかけたり昼食を一緒にとるなど復職者の状況を把握するとお互いに安心できます。

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以上説明しましたように休職者への対応は上司にとって精神的にも肉体的にもパワーのかかる大仕事になります。

加えて他の部下にも気を使い自分の仕事もこなさなくてはなりません。

こう考えると、やはり日ごろのメンタルヘルスの基本である予防のための「けちなのみや」でチェックしながら声がけをすることではないでしょうか。

 

次号では事例をもとに上司の対応を具体的に考えていきます。