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社会にとけこめない人たち(その4) ~(続)上司を悩ます「現代型うつ病」社員~

2012/05/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

「現在型うつ病」と呼ばれている若い世代が増えています。

従来のうつ病は真面目で責任感が強く我慢強い人がかかりやすいといわれてきました。他人に対してはとても親切ですが、非常に人の目を気にします。ミスをすると人に迷惑をかけてしまったと自分を過度に責めるため、場合によっては自殺する可能性があります。自分がうつ病にかかると、それを恥だと考え、引きこもります。

一方「現代型うつ病」は「私はうつ病なの」と平気で公言します。子どもが風邪を引くと親が優しくしてくれることを期待している感情に似ています。疾病利得という考え方で自己中心的です。病気になったのは自分のせいではなく、周囲の無理解のためと考えます。責任感がなく不都合が生じると人のせいにするため大人としての成長ができません。

自分にとって受け入れられない事態が起きるとうつ病の症状になり気分が落ち込みます。しかし、休日になると元気です。自分の好きなことをしていれば元気なのです。

4月号に事例として紹介しましたように、仕事に対しては「やらされている」「やってあげている」「残業はしない。仕事は就業時間内と決めている」「失敗は上司の指示が間違えたから」「怒鳴る上司はパワハラであり、人権を無視しているので国の機関に訴えればよい」「遅刻・欠勤はそれなりの理由があるのだから厳しく言われる筋合いはない」「上司は自分の仕事の成果をほめてくれない」

このように考えるため職場への帰属意識が乏しく役割意識を持ち合わせていません。

うつ病は、休息・投薬・カウンセリングをしながら復職への治療をしていきますが「現代型うつ病」は従来の治療では改善しにくいのです。思考が未熟で他人のせいにするため反省できず大人としての成長が阻害されています。

4月号に続いて事例を紹介します。

 

二日酔いで午後出勤のどこが悪い!

Mさんは日曜日に同窓会があり深夜までカラオケで盛り上がってしまいました。その結果、月曜日は二日酔いです。上司に午後から出勤しますとメールで連絡をいれました。しかし、出勤すると上司から「酒臭いまま出勤するくらいなら休め」と叱られました。

「午後出勤を認めたのはあなたでしょ。僕は仕事があるから出勤したのに、そのように言われる筋合いはありませんよ」と言いかえしてしまいました。ついつい口論となり上司は

「そんなことならお前はもうでてこなくていい!」と怒鳴ります。Mさんは怒ってそのまま帰宅してしまいました。

翌日は無断欠勤です。上司が連絡をしても応答がありません。

 

Mさんの留守電に「明日は出勤するように」との伝言を残しました。しかし、その翌日も無断欠勤です。

やむをえず上司は人事部の担当者と様子を見に自宅を訪問しました。

チャイムを鳴らすと母親が出てきて

「昨日から沖縄に出かけています……」といいます。

休暇届けが出ていないので様子を伺いに来た旨を伝えますと、母親は息子の無断欠勤に驚きます。

「上司からしばらく休めと言われたから、と言って友人と旅行にでかけましたよ」と憮然とした様子で話します。 

Mさんの携帯に電話すると明るい声でMさんがでました。そしてあっけらかんと応えます。

「会社は辞めます。こなくてもいいと上司に言われている会社には自分は必要ないので……」

その場は、とりあえず旅行から帰ったら会社に電話をするように伝えましたが連絡はありません。

こうしてMさんは退職の手続きをとることとなりましたが、あくまでも上司による解雇であり自己都合退職ではないと主張しました。

会社都合による退職は認められないと伝えると2週間後、弁護士から封筒が届きました。退職の話し合いは今現在も続いています。

このようにMさんの主張は最後まで変わりません。自分の正当性を主張し周りを巻き込んでいくのです。

4月号の事例やMさんのような「現代型うつ病」社員対策は次の6点です。

①産業医と連携し衝動的な行動をとらないように話し合う。

②独身者の場合は衝動的な行動をとることを念頭に親元へ戻す。

③復職を延期したがるので主治医、産業医と相談しながら復職時期を検討する。

④復職後は安定した状態で仕事内容について検討する。

⑤遅刻・欠勤については人事労務管理の枠組みで許容できる限度を示す。

⑥上司・同僚とコミュニケーションを保てる環境を整える     (続く)