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男と女、狐と狸の化かし合い(下)

2012/01/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

前号に引き続き男女間に芽生えた不信感の事例を紹介します。

「電話に出られなくてゴメン。取引先との話が長くなって当分動けない。先に食事して。帰りは遅くなるから気にせず寝ていてネ。ヨロシクー()」

世間もうらやむ幸せな家庭の主婦F子さんは、夫(Eさん)からメールを受けました。

F子さんは、「食事もせず仕事がごたついているんだ。お腹をすかせて帰ってくるかも」と思い夜食を用意しましたが、帰宅は午前1時でした。

その数日後、夜9時にまたメールです。

「ゴメン。今日も例の客でゴタゴタしている。遅くなるから先に寝てて()」

そしてまた帰宅は午前様でした。

この間も帰りが深夜だったし、そんなに大変な仕事なのかしら。

どんなことが起きたのか聞くと「話してもわからないよ。大丈夫!」と答えてくれません。

F子さんは、またいつものこと、営業だから仕方がない、と思うようにしました。しかし、お酒の飲めない夫がたびたび朝帰りをするようになると、気になりはじめます。

そしてまた数日後、夫のメールです。

「ゴメンゴメン。出先なんだけど客先の話が長くなり当分帰れない。先に食事し

ていて()」

F子さんは夫からの数日間隔の同じメールに違和感をおぼえます。同じパターンのいい訳メールはもはや通用しなくなっていたのです。

メールからは、「今日は遅くなるし仕事だから電話しないでほしい。放っておいて」という夫の想いが伝わってきました。 

「ひょっとして浮気?……」

ためしに電話をいれますが携帯の電源は切れていてつながりませんでした。

夫への不信感が芽生えた瞬間です。

 

夫の携帯メール

「何をしているのやら。女の人といちゃついているのでは?もう黙っていられないし気分が晴れずイライラしちゃう。証拠をとらなきゃ」

F子さんはある決意をします。この日、Eさんは3時過ぎに帰宅すると何も言わずすぐに熟睡してしまいました。

 F子さんはEさんのカバンを開け携帯のメールをチェックしました。

「7時につきます。今日はモツ鍋楽しみにしているよ。僕はビールとマッカリ買っていくね。()」

ショックで気持ちの整理ができません。浮気をしていたんだ……。今まで信じていた気持ちが裏切られ携帯を持っていた手が震えます。

夫を起こして確かめよう。いや、メールを見たことがバレてしまう。このまま知らん顔していたほうがいいのか。疑いながら明日から夫の顔を見られるのか。メールが来るたびに「浮気?!」じゃないかとオドオドしなければならないのか。夫の寝顔を見ながら頭の中を迷いが駆け巡ります。

その時、夫の「いびき」でF子さんは我に返ります。そして、夫を起こして問い詰めたのです。

 

妻の詰問

「このメールは何。あなたいつから浮気してたの」

「浮気!!何の証拠もないじゃないか。相手を見たのか。だいたい人の携帯を見るなんて……。何を勘ぐっているんだよ。いい加減にしてくれ。妄想するのもいいけど、明日は早いんだ。くだらないことで起こさないでくれよ。もう寝る!!」

妻「無言……」

 

感じた気持ちを伝えること

男と女の会話には言葉の持つ意味の取り違いや思い込みによるスレ違いが多々あります。本来、コミュニケーションには事実を伝えることと気持ちを汲んでほしいという期待があります。特に事実を伝えられない時はウソになりますが、言葉(メール、電話、会話)に隠されている意味を分かってほしいという期待が大きくなります。

前号の「また私の悪口?」のAさん(夫)には、義母と妻の板ばさみになるのを避けたい、妻にいやな想いをさせたくないという気持ちがあります。

「友達の髪をさわる男」Cさんには隠しておきたい事実があり後ろめたさがありますが、自分の誠意を分かってほしい、本当に好きなのは君(D子さん)なんだ、という気持ちがあります。

「夫からの怪しいメール」の夫もCさんと同じ心境ですが、夫は「明日も仕事だ。家族のために働いている自分を分かってほしい」という気持ちがあります。

本当に男女の会話から気持ちを理解するのは難しいことです。こじれてしまうことを予防するには会話の受け手が感じたことを早く言葉にして相手に確かめることが重要だと思われます。例えば「友人の髪をさわる男」の場合、D子さんはCさんに「まさか友人に興味を持っていないよね。とても不安になってしまうからね。悲しくなってしまうわ」と伝えておくとCさんの旅行は中止されたかもしれません。それでも彼が旅行するのであれば、D子さんは迷わずに別れることができるでしょう。関係がギクシャクするのは最初の不信感をどこかで否定してしまうからではないでしょうか。積極的に感じた気持ちを伝えると問題行動は少なく良い関係を築けるでしょう。