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「私、変ですか」(上)

2011/09/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井たみえ

 

「ちょっと変な人が会社にいるのよ」

「どんな人?」

「私の仕事、旅行代理店じゃない。その人ったらカウンターでお客さんの相談にのってあげているときに、急に席立って『喉がかわいたので飲み物買ってきます』と言ってお客様をおいたまま外に出ちゃったのよ」

「それで?」

「課長が慌てて不信顔のお客さんの相談を受けている最中に『遅くなりました』って帰ってきたの」

「その人どうなったの?」

「お客様が帰った後、課長が怒ったの。

お客様優先は常識だ!って怒鳴ったら『喉が渇いてうまくお客様に説明できなくなったらそのお客様に申し訳ないじゃないですか!私のしたことはお客様優先だと思っています』って反論したのよ。その翌日から体調が悪いって休職してるの」

「えっ、それってなんか変だよネ」

「うつ、なのかな」

 

電車内での女性の会話です。話を聞きながら私はその人は「うつ」ではなくPDD(広汎性発達障害)なのではないかと思いました。

 

PDDはコミュニケーション能力や社会性の獲得といった、人間の基本的な機能の発達障害のことです。

「変な人」ではなく、発達障害なのです。本人を色眼鏡でみて敬遠するのではなく、どう対応していったらよいのかを事例をもと考えていきましょう。

 

事例① 職場でKYといわれている部下

会社の上司(48歳)が部下Aさん(32歳)についての相談にみえました。

「私とAが取引先の会社で説明していた時です。私が取引先の来期目標について話しはじめるといきなり

『そうだよ。来年はいついつまでに××をして下さい。間違うと迷惑です』と言い出すのです。

帰り道、取引先の役員に対して失礼だ。言葉遣いに気をつけろと注意すると

『私はきちんと説明しただけです』と反論してきます。

「その場の雰囲気があるだろう」と言うと首をかしげて納得しません。

Aは職場でもうまくコミュニケーションがとれず一人でいることが多いのです。同僚からはKYと呼ばれています。彼も苦しんでいるのではないかと心配なのですが、本人は淡々としています。

知能は高く、勤務態度もまじめで遅刻は一度もしていません。上司としてどう接すればよいのでしょうか」とここまで話すと今度は

「病気ですか、治るんですか」と矢継ぎ早に質問をしてきました。

 

事例② 上司と言葉が通じない

Bさん(26歳)はIT関係の企業に勤めていますが、上司の言っている意味が分からず途方に暮れています。

「上司から言われたことの意味が分からないので何をすればいいのか迷ってしまいます。

『あれはどこまで終わっている』『スケジュールは変更だ』『適当にやってくれ』『優先順位を考えろ』

と言われると頭の中がぐちゃぐちゃになってしまい、どうしたらよいのか分かりません。

しかたなく分かるものから作業をはじめると

「それは今やるべき仕事ではないだろう。よく考えろ」です。

そういわれてもどうすべきか分からないので毎日残業が続いています」

私「一番困ることはなんですか」

「話が通じないことです」

私「宇宙人と話している感じですか」

「そうです。上司が私に話しかけてきて真面目に答えると、そんな事まで話さなくていいと言わます。ですから以後、話をしていません」

私「子どもの頃はどうでしたか」

「他の子どもたちと一緒に遊ぶより一人で遊ぶほうが好きでした。チームでやるスポーツは自分が何をしていいのか分からず、はずされていました」

私「自分の話が相手に伝わらないと感じて、何か気づいたことはありましたか」

「自分はアスペルガーだと思うんです。本を読んでいて、これだ、自分に似ている!って思ったんです」

私「それで安心しましたか」

「はい」

 

以上のやりとりは紙面上では会話がスムースに流れているようにみえますが、実際は、間がとれず、質問と答のタイミングが合わず大変でした。

 

事例③ 私、変ですか

専門職のCさん(27歳)はカウンセリングの冒頭でこう切り出しました。

「雑談していて私がなにか言うと、『それはおかしいよ』とよく言われるんです。私、変ですか」       (続く)