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(続)部下とのコミュニケーションに悩む管理職 ~ミスや価値基準の違いは当然ある~

2011/02/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

Aさん(42歳男性)は1年前に管理職となりました。しかし、部下とうまくコミュニケーションがとれず、最近は部下が自分を避けているような気がして不安でなりません。

そこに苦手な人事評価が重くのしかかります。提出期限が迫ると不安で寝られなくなりうつの症状になってしまいました。最近はこのような管理職うつで相談にみえる方が増えています。

そこで前号(1月号)から部下とのコミュニケーションのとり方について解説しています。今月号は価値基準の違いと部下のタイプ別対処法について考えてみましょう。

 

価値基準の違いからコミュニケーションがはじまる

ある日の上司と部下(中堅職員)の会話です。

上司:後輩の面倒を少しはみてくれよ。

部下:そんな時間ありませんよ。

自分の仕事で手一杯です。

上司:何言ってんだ。後輩が育たないと会社が困るんだよ。

部下:そんなこと言ったって自分の仕事の成果が第一ですよ。

上司:よし、だったらお前の面倒はもうみないぞ。

 

これでは話し合い決裂です。上司は、後輩の面倒をみることも部下の仕事だと考えています。一方、部下は自分自身の成果を出すことが第一であり、後輩もそれぞれ自力でやるべきだと考えています。

成果主義が導入されてから、このような考え方が増えてきたような印象があります。まずは日ごろから仕事に対するお互いの価値観を話しておくことが大切でしょう。 

人にはそれぞれ価値基準がありますが、次のように考えておくといいでしょう。

①価値基準は一人ひとり違う。

②誰もが自分が正しいと思っている。

③価値基準は無意識のうちにいつの間にか本人の言動に表れる。

④くいちがうことがコミュニケーションの始まりであると考える。

 

部下と価値基準が異なるからといってイライラする必要はありません。以上の4点を思い出し、自分はどの基準で話をしているのかを振り返ってください。

そうすると余裕が持て、相手の価値基準は何なのかに気づきます。そこからコミュニケーションが始まるのです。

 

上司のアサーティブコミュニケーション

価値基準の違いに気づいたら、まず部下の価値基準を認めます。そうしてから自分の価値基準を伝え、具体的方法を指示します。

たとえばこんなふうに切り出すと話が進展すると思います。

「君は自分の仕事の成果を出すことが一番大切だと考えているんだね。確かに与えられた仕事をきちんとやることは大切だと思う。そこで少しの時間でいいんだ。君の仕事を後回しにしろとはいわない。ちょっとした機会に『うまくいっているか?困ったことないか』と声をかけてくれると後輩も助かると思うんだよ」

 

4W1Hは部下の問題点を明確にする

部下が最近、軽いミスを繰り返したり、様子が変だと感じたら、声をかけてみましょう。

どこに問題があるのかを明確にするには4W1Hで質問すると効果的です。5W1HのWhy(なぜ?)ははずします。When Where Who WhatとHowです。

Whyの質問をすると、「なぜだ。原因はなんだ。よく考えろ」と詰問になりがちです。これではかえってプレッシャーを感じてしまい、部下は場当たり的な答えをしてしまいます。

 

部下のタイプ別対処法

1 暴走運転型

報告・連絡・相談(ホウレンソウ)せず自己判断で仕事を進める部下がいる場合は、報告・連絡を職場の全員に徹底させる必要があるでしょう。ベテランで信頼のおける部下は任せて自主的に仕事をすすめればいいのですが、経験が浅い場合は、逐一指示をあたえるほうがよいでしょう。失敗したときは育成のチャンスでもあります。

2 私が一番型(目立ちたい部下)

雑用、地味な仕事を嫌い、汚れ役の仕事に不満を持つ部下に対しては、エース級の社員を交えて話をさせるのも効果的です。

 経験の少ない頭でっかちの部下は現場に出ると成果が出ずに悩むので、そういうときは「どうした」「最近うまく行っているのか」などと声がけをし、改善が見えてきたら具体的に褒めます

3 ステルス型

納期前に休んだり、肝心な時に行方不明になる部下は、プレッシャーに弱く失敗を怖れてのことと考えられます。

失敗や怒られることにとても敏感ですので、失敗そのものを怒るのではなく、失敗を恐れて「消える」ことを叱ります。

失敗は上司の想定内であるという認識も大切です。

4 ネグレクト型

後輩の面倒をみようとしない部下です。

部下の後輩を直接指導し、後輩からその部下に報告させて意識を改革させます。

 取引先に部下と回る。部下の上げた成果は部下の手柄にする。部下をなるべく肩書きの上の人と面談させる、などの働きかけでネグレクト部下を減らすことは会社にとっても重要です。

 現代は個々の社員の個別の成果よりチームワークで力を発揮する時代ではないでしょうか。

5 ニセブランド型

どこの職場にも仕事をしているように取り繕うことが上手い部下がいるものです。

ここはサボることができるのも一つの才能と考え、重要な仕事をまかせてみるのも一計です。

 同じレベルの部下と競わせたり、あえて難しい仕事を与える方法もあります。

6 アンドロイド型

優秀で従順ですが、いつも指示待ちという部下がいます。それがすべて悪い訳ではありませんが、失敗を恐れてチャレンジしない場合は、防衛的になっています。

ミスや失敗を笑い飛ばせるような職場の雰囲気をつくり部下がチャレンジしたことを評価すべきでしょう。

「君ならこんなこともできる」と少しずつ背中を押し、出来たら褒めます。

7 ヒラメ型

上司に媚び、部下に対しては傲慢な人は人望がありません。よくヒラメなどと陰口をたたかれています。顧客に傲慢なふるまいがあれば要注意です。

そのような部下を作ったのは上司自身です。上司がすぐに怒鳴ったりすると部下は顔色を伺うようになります。

ヒラメをつくらないためには、自分がヒラメにならないことと、褒める基準を統一することです。部下が誇りを持って仕事ができれば、上司に媚びたり後輩に威張り散らすことも減っていくでしょう。

 

部下にも様々なタイプがあります。管理職は自分の部下のタイプを考えた上で対処法を考えるのが効果的です。

 

ミスは当然するもの

最近はミスを恐れるあまり報告・連絡・相談をしない部下をよくみかけます。

ミスは当然するもの。ミスした後の行動で成長することを部下に伝え、安心させることです。

「自分もミスして育ったんだよ。ミスの言い訳より状況と対処したこと、今後どうしたいかを聞きたいんだ。間違っても翌日無断欠勤はするなよ。明日からまたチャレンジしていけばいいんだよ」

頼もしい言葉です。最初にご相談にいらした管理職Aさんにもこのような上司がいらしたら管理職うつにはならなかったでしょう。