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部下とのコミュニケーションに悩む管理職

2011/01/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

部下への対応能力が求められる管理職

「部下の評価ができない」と相談にこられたAさん(42歳男性)は1年前に管理職となりました。

初めての人事評価が迫り、不安で寝不足となり上瞼の痙攣が2カ月も続いています。管理職うつの症状です。 

部下20数名の面談を終え、部長をまじえた全体会議で共有した情報のもと、評価を提出する日に風邪を理由に休んでしまいました。

責任能力のなさと戦場を後にした敵前逃亡者のような心境にさいなまれ自己嫌悪におちいっています。

私は現代の管理職は部下を育てることに特別な能力(スキル)を求められているような気がしています。

 

古きよき時代の管理職

 かつて高度経済成長の時代の管理職は面倒見がよく、部下からも信頼されていました。ときには部下をわが家に呼び、妻の手料理でもてなすこともありました。

妻の手料理とまではいかずとも、しばしば居酒屋で部下の愚痴をきき、励ましたり指導したものです。もちろん割り勘ではなく勘定は上司持ち。

現代ではこのような上司は化石と呼ばれ、部下は逆に「僕のプライベートな時間まで拘束しないでほしい」といっています。

その分、部下とどうコミュニケーションをとったらよいのか悩んでいる管理職が大勢います。

 Aさんもその一人で、最近、部下が自分を避けているような気がして、不安でなりません。

 

話を避ける部下

部下が上司と話をすることを避けるようになったのはいつのころからでしょうか。思い当たることはないのでしょうか。上司は無意識に対応しており気づかないことが多いのですが、部下からみると次のような原因が指摘されています。

・話しかけても上司から無視された。

・いきなり理不尽に怒鳴られた。

・他の仕事に集中している時に次から次へと指示を出された。

・急に話しを遮って、他の人と話し始めた。

・自分の言いたいことばかり言ってこちらの言いたいことを聞いてくれない。

・こちらの言ったことに「それはな!」と反論ばかりされた。

・ひとこと言ったら10倍になって返ってきた。

部下からみた上司評は辛口です。「そもそも部下の話を聞くことが管理職の役割じゃないですか」と考える若い社員は多いのです。

最近の若い人は、いわゆるゆとり教育の結果なのか依存的で指示待ちの傾向が強いようです。

 

時間がない上司

一方、上司の側にも問題があり、部下の話を聞けないという人がかなり見受けられます。

余裕のない上司は、常に時間やスケジュールに追われ、

「なにがいいたいんだ。結論から言え!」

「状況説明はあとでいいから」

「言い訳はいいからやるべきことをやってくれ」

などと部下にいってしまいます。

これでは部下はコミュニケーションのとりようがありません。

 

勝ち負けにこだわってしまう

 また、部下と論争してしまう上司もいます。管理職としてのこけんに関わるのでしょうか、どうしても勝ち負けにこだわってしまいます。

「部下の話をじっくり聞くことは自分がバカにされる」

「自分が部下におべっかをつかっているようでプライドが許さない」

「部下がつけあがってしまう」

目先のことにこだわり不安感が元々強い管理職に見受けられます。部下に意見を言われると否定されたと感じてしまうため無意識に防衛してしまうのでしょう。

 

部下とのコミュニケーションをうまくとるには 

 では、どう対応すればコミュニケーションがうまくとれるのでしょうか。

自分の性格を知った上で部下の性格を把握し、思い込みを防ぎ対立をなくし信頼を培っていくことだと思います。

具体的にみていきましょう。

 

聴き手次第でお互いのストレスはなくなる

まず聴き方ですが、部下の話を遮らないことです。

1話を終わりまで聴く(最低でも1分)。途中で反論したり、「そんなことはいいから」と相手の話を遮らない。

2話の途中で「じゃあ、こうしたら」「こうした方がよい」とアドバイスや命令をしない。

3質問したら相手が考えて答えるまで待つ。

4部下が受け取る余裕ができているかを見てから伝える。

 

また、聴く態度も重要です。信頼感を与える聞き方は、

1.相手が話しているときは作業を中止して聞く。

2.相手に向き合って聞く。

3.腕組み、足組みをしないで聞く。

4.相手が伝えたい内容(事柄)だけでなく気持ちも聞く。

5.自分の声の高さ、大きさ、速さ、表情、身振りに意識を持つ。

6.相手の身振り、表情、声の調子に意識を持つ。

7.相手を認めているという言葉を使う。

(部下の話した言葉尻をとらえて反復するのもひとつのスキルです)

例えばこんな具合です。

「今日休みたいんですけど」

「今日休むということ?」

「はい」

「どうかしたの?」

 

信頼感を育むYOUとIのメッセージ

これはコミュニケーションのスキルですが、部下(YOU)をほめるだけでなく、上司本人(I)の気持ちを伝えると信頼感が芽生えてきます。

たとえば、次のいいかたはYOUのメッセージです。

「あなたは頑張っている」

「あなたは仕事がテキパキしている」

 このいいかたにIの気持ちを伝えると信頼感が高まります。

「あなたが頑張っているから私も頑張れるよ」

「あなたが仕事をテキパキやってくれるので私は安心です」

 

信頼感と不信感の分岐点となる態度

「忙しそうですね。何か困ったことがあったら。いつでもいいから言ってください」と部下に言葉をかけても、その態度が腕組み、足組みをしたり、自分の仕事をしながら、というのでは相手は不信感をもってしまいます。

「自分は忙しいからそばによらないでくれ」という態度ではIメッセージで「話しかけてくるな」という裏の感情が伝わり誤解されてしまいます。

 

約束を放置しない

部下とつながり感(一体感)をもつためには約束を放置しないことも大切です。逆に放置すれば一体感どころか不信感になってしまいます。

たとえばこんな言葉がけでも部下の気持ちは変ってきます。

「例の件はもう少し待ってくれ」

「以前相談されたこと調べたよ」

 

 管理職になったAさんは、忙しさのあまり、どこかで部下に誤解を与えてしまったのかもしれません。

(次号に続く)