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ちぇんちぇい、愛ってなあに?

2010/08/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

A子さん:40歳 専業主婦

夫   :45歳 自営業 結婚7年

A子さんは夫の両親と2年間同居しましたが、義母との折り合いが悪くなり、うつを発症。そのため両親と別居しました。こうしてうつの症状が安定してきたので精神科のすすめでカウンセリングに来所しました。

 

<経緯>

夫は結婚前に家を持ち両親と住んでいました。A子さんはそこに同居したのですが二世帯が暮らすには手狭でした。

A子さんは遠慮しがちで、夫のかげでそそと働きました。夫の両親も可愛い娘ができたと大喜び。台所はひとつでしたが常に両親を優先し、土日は両親の好みの味付けで食事をつくりました。

夫はそのような妻の気配りに感謝し、休日は妻の好きなドライブに行ったり、妻のためにスポーツクラブの会員登録をしてねぎらっていました。

ところが、幸せは長く続きません。半年後にはA子さんは不眠が続くようになります。朝起きることができません。夫の食事を作ることもできなくなり、昼すぎまで寝ていることが多くなりました。

義母は息子に「妻はどうしたのか、食事はどうしているのか」と、矢継ぎ早に質問をしてきます。その分、夫はA子さんに冷たくあたり責め立てます。

A子さんの症状はさらに悪化し、家の中は収集がつかなくなります。いたるところゴミが山積み状態になりました。

みかねた夫はA子さんと精神科を受診。うつ病と診断されました。

医師によると、同居することによって精神的な圧迫を受け、良い妻、良い嫁が続けられなくなり自責感・罪悪感が増し、その一方で義母や夫に対して憎悪の感情をもつにいたったといいます。

それから6年後、精神科医から紹介されて来所した妻の言葉は以下のとおりでした。

 

<A子さんの話>

お惣菜を買って夕食をすませると、翌日、義母はゴミ箱をみて「昨日は夕食を作らなかったの。家計費がかかるでしょ」とイヤミを言います。「洗濯は午前中に干して夕方には必ず取り込みなさい」などと家事についても小言が絶えません。

夫にそれを伝えると「しょうがないだろ。無視すればいい」と取り合ってくれません。しかし義母を無視することなんてできるはずがありません。

「別居したい」と思っても、年老いた両親の介護をする目的で同居している以上、私のわがままになってしまう。

夫のいない日中に、起き上がることのできない私のそばで「子どももいないあなたが家事ひとつできないなんて私には考えられない」と言い、大きな音をたてて食事の後片付けをしたり掃除をします。

私にはその大きな音が「ダメな嫁だ」と聞こえてしまいます。「もう死ぬしかないんです」とテーブルに泣き崩れました。

<夫の話>

2回目のカウンセリングは夫も同伴してもらいました。結婚のいきさつを聞くことと、夫婦間の溝を埋めるためでした。

以下は夫の話です。

先輩の紹介でお見合いをし、3カ月後に結婚。早すぎると思いつつも年齢的なこともあり、子どもをもうけるには早いほうがいいと決断しました。

半ば結婚をあきらめていた自分は家を買い、両親と暮らしていました。親の老後を見届けようとしていた矢先に彼女を紹介されたのです。

家のローンもあるし親との同居という条件でも彼女が快い返事をしてくれたことで、私は彼女を一生幸せにしようと心に決めました。

スポーツ観戦、登山、ドライブなどであっという間に時間が過ぎ、挙式まで1週間というときに彼女から突然の告白を受けました。

「実は十代の頃から心療内科に通院しています。いじめが原因で心にトラウマがあり、傷つきやすくなってしまったのです。しかし今、あなたに出合って、新しい人生が待っていると思うと克服できそうです。結婚する以上、秘密はもてないので主治医の先生に私のことを聞いてほしいんです」

自分は彼女を救うことができると思い、主治医と面談しました。ところが「結婚は無理です」と言われてしまいました。

人の人生になんで口を出すんだろう。そんな権利は医師にはないはず。自分が選らんだ人を守るのは自分であって責任をとるのも自分だ、と結婚の決意を新たにしました。

親との別居も考えましたがローンもあるため妻の同意を得て同居に踏み切りました。しかし、半年たつと妻の不眠がはじまり昼夜逆転の生活になりました。

“帰るコール”をすると妻は「今起きたところなの。お疲れ様。今日も何もできなかった。ごめんね」と甘えた口調で答えてきます。それが私にとっては「何もできないけどいいでしょ」と言っているように聞こえてしまうのです。

帰って妻の顔を見ると腹立たしくなり、つい「何もしていないのか!」と怒鳴ってしまいます。

妻は「ごめんなさい。明日は食事の用意をします」と大声で泣き出すのです。

こうして結婚2年後に両親とは別居しました。それでも状況は変わりません。

妻はカウンセリング時に別居のことを言っていましたか?やはり言っていないんですか。妻は自分にとって都合のいい話ばかりをして別居の事実を認めようとしないんです。今でも母に対する憎しみを自分にぶつけてきます。

「もう何年経っているのか」と言っても「それだけ私の苦しみが大きいの」

と言い返してきます。

同居してすぐに妻の様子がおかしいことに気付き、精神科で診てもらったのも結婚前に医師から「結婚は無理だ」と言われたことを思い出したからなんです。

妻は従順で年齢の割には若く、子どもっぽいところがあり、私にとっては魅力的です。

「早く子どもが欲しいね」という妻に対して

「服薬をやめなければ産むことはできないよ」と伝えると

「私はあなたの子どもが産めないのね」とあきらめの言葉が返ってきます。

薬を飲まなくてもすむような方向に話がいきません。そのような努力をしないのです。

「こんな自分にしたのは同居をさせたあなたが悪い」といつも私を責め立てますが、ときには

「私が悪いのね。あなたは犠牲者よね」と泣きます。

本当に結婚は無理だったのか……、と今頃になって思います。自分の人生ってなんだったんだろう?と考えると、とても辛いんですよ。

 

ちぇんちぇい愛ってなあに?

離婚の相談で、カウンセリングに来所しているクライエントには3歳のお嬢さんがいます。そのお嬢さんから突然質問されました。

「ちぇんちぇい、アイってナアニ?」

「そうねえ、愛とは……、と答えられるように先生もなりたいなあ。一緒に考えていこうね」

愛って本当は単純なものかもしれません。

それを複雑にしているのは大人のほうで、実は3歳の女の子はその答えを知っているのではないかと思われる今日このごろです。