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「気楽」はすばらしいマジック

2010/07/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井たみえ

 

うつ病で1年間休職していたAさんが復職のためのカウンセリングで来所しました。

 

連続100時間超残業でうつ病を発症したAさん

Aさん(男性、45歳、既婚)がうつ病を発症したのは昇格が原因でした。

まず昇格したことで、わずかな手当てと引き換えに残業代がつかなくなりました。そのため家計に余裕がなくなり、ローンの返済に頭をかかえていました。

また、昇格したことで、自分の仕事のほかに部下のフォローもしなくてはならなくなり、残業時間が大幅に増えることとなりました。100時間超の月が8カ月も続いたといいます。

 ついに疲れは限界に達し、Aさんは1日休みをもらうことにしました。

このときは、今日1日寝ていれば明日は出勤できるだろうと軽く考えていました。しかし、翌朝は、まだ頭痛と吐き気が残っており出社できる状態ではありません。やむをえず次の日も休むことにしました。

Aさんは2日も休むことで焦りを感じますが何が原因か分からず、とにかく翌日は病院で診察を受けてから出社することにしました。

しかし、夜になっても眠ることができずウトウトした状態ですぐに目が覚めてしまいます。

翌朝の気分は最低でした。病院にいっても気持ちが落ち着かず、待合室ではソワソワしていました。

こうして睡眠不足の状態で内科を受診、MRI、血液検査をすませてから午後に出社しました。

出社して机に座りパソコンを開けると山のようにメールが届いていました。それを返信するだけで数時間を要しました。

部下からは休んでいた二日間分の報告が待っており、その対応のため、深夜残業になりました。

タクシーで帰る車中でいいようのない不安感におそわれました。動悸がはじまり、冷や汗が出ます。様子がおかしいことに気付いた運転手の機転で、Aさんは近くの病院に搬送されました。

当直のドクターに症状を説明すると「心電図をとるので明日来るように」と言われました。そのときは深夜2時を過ぎていました。

 

検査結果は異常なし

Aさんは自分の体の変化をどのように受け入れてよいのか分からず、混乱してしまい死の恐怖を感じました。

翌日、会社に昨日の事情を説明し1週間の休暇届を出し、昨夜の救急病院へでかけました。

検査の結果、心臓の異常は見られず安心しましたが、それはそれで疑問がわき、動悸とあの冷や汗はなんだったのか、また、別の不安が出てきました。

「別の病院で精密検査をしてもらったほうがよいのでは?血圧の異常ではないのか?こんな状況がずーっと続いたら会社を辞めなくてはならなくなる。家のローン返済ができなくなると売却しなくてはならない。退職金をもらっても額が少なく生活は出来ない。職もすぐには見つからないだろう……」

否定的な考えが次々に浮かびます。ふさぎこむしかなく、家で寝ていることも出来ず、相変わらず毎朝気分が優れず憂鬱になり孤独感が増してきました。

休みの間、別の病院で診てもらい、その検査結果を妻と一緒に聞きにいったときのことです。

医師から「異常はないので心療内科に行くように」とすすめられました。

思いもよらぬ言葉に今までの体調不良の原因が理解できました。

その後、心療内科でうつ病の診断を受け、3カ月の休職にいたります。

休職中には、腰痛、背中の痛みが始まり、抗うつ薬、抗不安薬のほかに痛み止めの薬も追加されました。

 

マイナス思考と身体表現性障害

こうして休職後、身体を休ませ、1年が経ちました。体調はなんとか回復。気分も安定してきたので主治医から復職の判断が出されました。

そこで、今後の対応も含めカウンセリングに来所したのです。

身体の様子を伺うと、まだ腰痛の症状は残っていました。散歩のしすぎだとAさんは考えていましたが、抑うつ状態の人には不安の原因による痛みがよく見受けられます。

この痛みは数年間にわたり続くことがあります。頭、関節、腹、背中が痛み、それに伴い胃腸の不調がある場合には身体表現性障害(心理的問題がもとになってひどい身体症状や身体障害的な症状が現れる障害の総称)の疑いがあります。

Aさんは不安が強くマイナス思考をしがちです。マイナス思考をしていると気分が不安定になり、体調も悪くなります。そしてついには身体のあちこちに痛みを招きます。マッサージや整骨院に何年通っても治らないケースはストレスが原因での痛みの可能性があります。

Aさんに「身体表現性障害」の説明をし、プラス思考に物事を解釈していく癖をつけることで痛みは消失することを伝えました。

不安・マイナス思考が痛みを招くということは、逆に考えるとプラス思考で気を楽にすると痛みが消えていくともいえます。こう考えると「気楽」はすばらしいマジックといえるかもしれません。