メンタルヘルスチェックシートのすすめと問題点 | BLOG | EAPとメンタルヘルスの事なら、みらい総合心理研究所へ

  • 11:00~18:00(最終受付 17:00)

  • 045-228-7171
  • 何でもお問い合わせ下さい

メンタルヘルスチェックシートのすすめと問題点

2010/05/01
ロゴ

みらい総合心理研究所 所長 岸井たみえ

 

メンタルヘルスケアは企業の収益に高い関連性を持っています。収益は利益と損失のバランスで決まります。利益の側面は、能率の向上、集中力を上げる、職員の意欲などです。損失は、意欲低下やミス、事故などです。

メンタルヘルスケアの導入は損失を抑え、生産性を向上させ利益に貢献しますので、収益の大きなポイントになります。

そこで最初に導入するのは「メンタルヘルスチェック」です。

これは個人のストレスを自覚させ予防につながります。

チェックした結果は個人宅に郵送され個人情報保護という観点からも安心して受けることができます。

しかし、社員に「ストレスチェックシート」を受けさせると、診断結果が「メンタルヘルス不全」となる社員がでます。

この場合、社員が孤立することがありますので注意が必要です。Aさんの事例を紹介しましょう。

 

●Aさん(31歳)システムプログラマー

主訴:ストレスチェックシート診断結果を受けたが、どのように対処してよいのかわからない。

<チェックシートの該当項目>

1    働きがい                    

2    心理的な仕事の負担(量)        

3    心理的な仕事の負担(質)            

4    自覚的な身体的負担度                

5    職場の対人関係でのストレス    

6    職場環境によるストレス            

7    仕事のコントロール度                

8    あなたの技能の活用度                

9    あなたが感じている仕事の適性度

でマークされている項目はポイント数が出ていますがここでは省略)

 

1~9の項目で重視すべきは1「働きがいがない」という項目です。この項目のポイントが高い場合は、うつ的症状が考えられます。

また4「自覚的な身体的負担度」にチェックがある場合は、仮面うつ病(胃腸の調子が悪い、頭痛がする、寝汗をかく、寝つきが悪い、朝早く目が覚め寝付けない、という症状があり受診しても身体的に悪いところがない)の疑いもあります。

 

Aさんの診断結果から2「心理的な仕事の負担(量)」と5「職場の対人関係でのストレス」について聞いてみました。

2については毎月80時間を超える残業が続いていることにより集中力がなくなっていました。

仕事の納期が迫っていてスケジュールが押してきており、部下の指導をしながら自分の仕事をしなくてはならないため焦りがあり、残業は深夜におよび、朝は起きられないことが多くなっていました。 

また、上司に遅刻の電話をすることが苦痛になっていました。かつて上司に遅刻してしまうと電話で報告したところ「あ、そう」と言われて、それ以来落ち込んでいたのです。

 そんなときに、自分の部下のミスに対して上司から「管理能力がない」と言われたこともダブルパンチとなり、自分が評価されていないと感じるようになりました。

最近は「仕事ができないから残業しているんだろう」と思われているのではないかと疑心暗鬼です。

このように自分の状況を話すAさんですが、性格的には責任感が強く、ルールを守る、愚痴を言ってはいけない、熱中しやすい、融通が利かない、という特徴があり、状況がうまくいかないとネガティブ思考になってしまいます。

Aさんのタイプは自分の理想像を優先しており、理想が崩れてしまうと自己評価をとことん下げて体調をくずしてしまいます。

5については上司や同僚の支援がないと感じており、最近は特に落ち込んでいました。

上司からの「管理能力がない」という叱責は相当にこたえたようです。

管理職として優秀で社内での評判もよく、Aさんも尊敬していた上司からの叱責で気持ちが不安定になったようです。

そのため7「仕事のコントロール」ができず、深夜残業が増えていったのです。

9「仕事の適性度」についても自分はこの仕事に適していないのではと考えこんでいました。

Aさんは「ストレスチェックシート」の診断結果で現実に直面し具体的対処ができず当所へ相談にみえました。

 

厚労省のメンタルヘルス対策は企業に浸透しつつあります。しかしその反面、導入はしたもののシステム構築が後手にまわってしまいAさんのようなケースが急増しています。

Aさんには産業医と面談することと、その上で産業医と上司の三者面談をすすめました。

産業医を選任していても職場巡視や過重労働面談を満たしていないケースもありますが、その場合は上司を通して人事担当者から産業医との面談希望を伝えてほしいと思います。

メンタルヘルス対策は人事担当者と産業医、保健職、カウンセラーが車の両輪となって実施していくことが最も望ましい形です。

その上でストレスチェック→カウンセリング→メンタルヘルス研修という一連の流れを作ることで企業収益(社員のモチベーションが上がる)に貢献できるのです。