(完)問題行動を起こす人たち | BLOG | EAPとメンタルヘルスの事なら、みらい総合心理研究所へ

  • 11:00~18:00(最終受付 17:00)

  • 045-228-7171
  • 何でもお問い合わせ下さい

(完)問題行動を起こす人たち

2009/09/01
ロゴ

みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

5月号から8月号まで、問題行動を起こす人たちの事例を連載してきました。お読みになった方、または周辺の方が似たような体験をされたことがあると思います。

カウンセリングに携わる人たちは、まさにこの最前線にあり、心理学の学会でも今やこの問題が中心的なテーマになっています。

よく体験することですが、カウンセリングの最中に突然、暴言を叩きつけ帰ってしまうクライアントがいます。1カ月くらい間を空けて再度カウンセリングを受けに来訪されますが、そのときは何事もなかったかのように振る舞い、この1カ月間来られなかった事情を切々と訴え、「見捨てないで!今度から真面目にしますから」と懇願してきたりします。

私たちにとってクライアントを守ることは当然のことなのですが、どのように対処してよいのか迷うことがしばしばあります。

最近は、事例にあるような問題行動を起こす人に振り回される人が急増しているのです。そのような現場でよくある質問をQ&A形式でまとめてみました。

 

Q急に理不尽な言葉を投げかけられた場合、どうしたらよいのか

A 何はともあれ「ごめん」です。

彼らは、「自分の言動は正論であり、この考えを間違えと認めると自分の存在感がなくなってしまう」と考えています。もちろん無意識ですが。

自分の存在は倫理・ルール・道徳・正義という概念に基づいていると考えます。概念に合わないことを相手が言ったのだから怒るのは当然で、自分のどこが間違っているのか理解できず、「あなたが悪いということを早く認めろ」といっているのです。

大人になると、様々な出来事は0と1だけでは解決できないことが多く、臨機応変に対処しなければ社会生活を送れないと気づきます。

しかし、彼らは臨機応変さや中庸という考えが理解できません。「それはそれ、これはこれ」という割り切り方はずるい間違った考え方であり、そのように考えると自分が自分でなくなってしまうという認識を持っています。

あなたが理不尽な言葉を投げかけられたということは、彼らから「あなたは彼ら流のルールを守れない駄目な人間だ」といわれたということです。

駄目な人間に怒って何が悪いんだと考えていますから、こちらは「ごめん」と言うしかないわけです。

 

 

Q「ゴメン」と言わずにいたらどうなるのですか

A あなたのことを許せず何らかの社会的制裁を加えるような行動をとる可能性があります。

彼らは、とても他人の気持ちに敏感です。自分のことを否定されたりすると「他人には優しくするべきで他人を嫌ったり攻撃をしてはいけない」という信念に基づいて、あなたへのバッシングが始まります。

その行動は矛盾していますが過激でとても大人の常識では考えられないことをしがちです。

自分が問題行動を起こせば嫌われるかもしれないと感じる前に、相手に対する好き嫌いの感情が先になってしまいます。しかしそんな自分の感情を認めません。

そして、ちょっとした会話でも「自分が嫌いな人」という感情を相手にぶつけてしまいます。

それでいて「相手が自分を嫌っている。人を好き嫌いで判断する人は許せない」と考えてしまいます。

自分の感情を認められず、というより認める能力が育っていないため全て「人のせい」にしてしまいます。

自分は悪くない、常に正しいからこそ、自分がスーパーヒーローになってしまうのです。

スーパーヒーローはマンガだけの世界ですが、彼らの中では生き続けています。

彼らの心の中には情があり困った人を救い、悪を憎む立派な全能の神がいます。

 

Q彼らにストレスはないのですか

 ストレスは未消化のまま抱えています。

たとえばA子さんはストレスを万引きという行動で発散していました。

ある日スーパーで買い物をした時に値引き品を知らずに計算したレジの人に計算間違いしたことをなじり、店長を出せと要求しました。

店長も平謝りでその場は納得して帰りました。

それから数カ月後に冬物のコートが欲しいと思ったA子さんは、そのスーパーの系列店のデパートに出かけ冬物コートと手袋を万引きしてしまいました。

A子さんはまるで他人事のように、「これがそうなの」とその時の上等なコートを私に見せ、得意満面でした。

「代金を払うつもりはないの?」と質問すると、「どうして?だって、あのスーパーのレジの人は私を騙そうとしたのよ。当然でしょ。ちょっと金額が違うけどね」

彼女には反省する材料が何一つありません。夫にも堂々と万引きしたことを伝えます。それも一度や二度ではありません。

その度に夫は見つかった時のことを考え、仕事も手につきません。

「頼むからやめてくれ」と懇願しますがA子さんの耳には届きません。

A子さんは現実を直視できないため、ストレスの世界で生きているといっても過言ではありません。

 

倫理、正論、規律という3種の神器

問題行動を起こす人たちは、自己評価が低く自己否定的で心が不安定です。

他人に嫌われるのではないか、相手は自分の敵ではないか、自分を見捨てるのではないか、と常に気にしています。

ですから、相手の言動には細心の注意を払っています。

彼らには3種の神器があります。倫理、正論、規律です。

自分が理不尽な対応をされたと感じたときは、この3種の神器をもって徹底的に相手を排除しようとします。

 

大人になりきれない人たち

問題行動を起こす人たちは大人になりきれない人たちといえるかもしれません。 

現代の女性の中には、幼児期のように「かわいい」と呼ばれることに快感を得て「大人カワイイ」「エロカワイイ」という実態のないファンタジーの世界へ没頭し、大人になることを拒んでいるように見える人もいます。

一方、男性でも「働く」ことで得る自分育てや生きがいを感じることなく「働く」ことのストレスを夜に遊び回ることで解消し、収入も泡と消えてしまう人が見受けられます。

戦って勝ち取ることをやめた男性はやがて「草食」と言われるようになったのではないでしょうか。

あまりにも厳しい競争社会の現実を受け止められず仮想の世界に潜り込んでいきながら現実の世界で息継ぎをしているようです。

問題行動を起こす人たちは、現実と空想の境界があいまいであり、幼児の世界と大人の世界との境界線をさまよっているのかもしれません。