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(続)昇進うつ  ~古典的うつ病・現代型うつ病と神経症~

2008/10/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井 たみえ

 

「無断欠勤を続けていて、これじゃ自分もダメになると思い、会社に行ったら、部長から『今度無断欠勤した場合は解雇する』と言われムカついたんすよ」

22歳のプログラマー

 

彼は抑うつ症状が続き、心療内科でうつ病の診断書をもらい、休職1カ月。その後6回の診断書を提出した後「復職可能」の診断書を人事部に提出するも2日後に無断欠勤。再度うつ病の診断書を提出し5カ月がすぎましたが、その後、職場に連絡することもなく無断欠勤が続いていた矢先のことでした。

つまり1年近くも会社に行けない状況が続いたのです。

 

カウンセリングを受けるきっかけは会社からの要請によるものでした。

職員がうつ病になってしまった場合、人事部にとって問題点は次の3つが主にあげられます。

心療内科の診断書で「復職可能」の判断があっても2~3日で休職をしてしまうため人事部としてどのように対応してよいのか判断がつかず「社員と主治医の意向に従うしか方法がないのか?」と戸惑ってしまう。

社員が自ら「私はうつ病です」と宣言する根拠が状況因(会社での人間関係、過重労働、借金、離婚、友人とのいさかい、家族のトラブル等)の何にあたるのかわからない。

心身の症状をインターネットで検索し、自分はうつ病なのだと自分で診断してしまう。

 

うつ病は、体の病気と違って表面化しないため、主治医も会社人事部も本人の自己申告に頼らざるを得ないのです。

ここで問題になるのは、従来、うつ病と言われていたもの(古典的うつ病)と神経症の違いを知らないことではないでしょうか。(次頁の図表1参照)

 

(図表

 

今では従来のうつ病を「古典的うつ病」と呼ばざるを得ない状況になっていますが、このような状況に至ったのは社会情勢が大きな要因になっているようです。 

いわゆる古典的うつ病になってしまう人は責任感が強く誠実で几帳面な考え方に由来します。

このような人は、たとえば、対人関係等のトラブルがあると自分が悪いのではないかと、いわゆる自罰的な考え方をします。

1970年以降はスチューデントアパシー時代といわれ①無感動②無関心③無気力の三無主義が特徴的な学生が急増した時代でした。

その後40年近い年月が経過し、うつ病と神経症の二極化が進み、神経症がより複雑に変化し、古典的うつ病と複雑に絡み合い新たな病名が次々と生まれています。

ここに総称して「現代型うつ病」と表記いたしますが別名ディスチミアうつ病と言われるのがより専門的かもしれません。(図表2参照)

 

(図表

 

特徴的な思考は幼児的で自分を優先し、他人の気持ちを感じ取る能力が薄く、ある意味マイペースです。

その分、何か嫌な状況になると他人のせいにしたり、怒り、憤り、悲しみが爆発的な感情となって出やすく、「キレる」状態になるわけです。

冒頭のプログラマーの話に戻しますと、彼は古典的なうつ病というよりは現代型うつ病であり、神経症に近いと私は思います。

 

彼の「うつ病」の状況因は会社とは無縁で失恋が原因でした。

同棲していた彼女から彼の日ごろの行動(約束を守らない。すぐにカッとなる。自分のやりたいことに熱中してしまうと周囲が見えなくなってしまう)を批判され落ち込みを強く感じてしまったことによるものでした。

最初は彼女のせいにしていたのですが。彼女が家を出ていってしまった後「一人になった途端、寂しくて耐えられず、うつ病になった」と彼の弁です。

 

会社としては、このような事情も知らずに無断欠勤を続ける社員に振り回され主治医も同様に振り回されたと言えるのかも知れません。

 

彼が会社に戻り「自分もちゃんとしなくては」と考えに及んだ一つの出来事に私は愕然としました。

休職中に転職活動をしたのです。数社と面談した結果、全て落ちてしまいました。原因は採用者がみな同じ意見でした。「あなたのキャリアでは足りません。あと2年以上キャリアを積んでから転職を考えたらどうですか」と言われたとのことでした。

「なんだ、それなら今いる会社に戻った方が手っ取り早い。年休もないけど頑張ってみよう。早く借金も返せるし……」

 

私はそれをきいて、なんだかとても不安になりました。

○○神経症になってしまうかも!!