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(続)昇進うつ

2008/09/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井たみえ

 

40歳・独身・通信業界営業部門のA子さんは、管理職試験に合格し課長に昇格しました。しかし、部下をマネジメントすることは苦手で、部下に仕事をまかせられません。

「部下も残業で忙しそうだから……」と考えてしまい、自分で仕事を背負い込んでしまいます。その結果、月平均残業時間は100時間超。そしてついに、うつ病を発症してしまいました(前号に詳細は掲載)。

うつ病になるのは、発症前の性格や世代の問題にも関連しています。

几帳面、実直、努力家、責任感が強い、周りの人に気を配り自己犠牲的などの性格はもっとも典型的な日本人の性格ですが、このようなうつ病にかかりやすい性格のことを「メランコリー親和型」といいます。40代50代の方に多いのが特徴です。

「家族や会社のために頑張れますか?」という問いに「もちろん」とはっきり答えられる人達です。

このような人達が日本の経済を支え働き方の模範を示してきたのです。かつての日本社会は、まじめで、責任感をもって仕事を成し遂げる人たちを求めていました。

このような人達がうつ病を発症してしまう要因の一つに過重労働が考えられます。

A子さんは部下の面倒見がよく、部下が忙しそうだと自分でこなしているうちに帰宅時間が深夜11時12時になってしまい睡眠のリズムが機能をしなくなってしまいました。

A子さんは週休2日制をうまく利用し、睡眠薬で調整しながら、何とか休まずに出勤していました。新しい職場にも慣れてきて部下のそれぞれの特徴もわかってきたので少し余裕を感じられるようになりました。

 

その矢先、20代の女性社員B子さんが「診断名:うつ病、自宅にて3カ月の療養を要する」という診断書を突然提出し、休職することになったのです。

B子さんは社内恋愛で悩んでいたので、職場では気をつかっていたのですが、当の本人はあっさりと診断書を提出してきました。

自分が新米課長であったことや会議が多く、部下とのコミュニケーションを十分とることができなかったこともあり、自分のせいではないかと肩の力を落としながら直属の部下がいなくなった穴埋めの仕事のことを考えると更に悩みは深くなるばかりでした。

当のB子さんは休職する前、気分転換のために語学研修でロンドンに行きたいと同僚に話していたそうです。

そのことを聞き、A子さんは愕然としました。自宅療養と気分転換の語学研修がどこで結びつくのかは、私にも理解できませんでした。常識という枠では考えられないことです。

本来うつ病とは時間、場所を選ばず、気分が低迷している状況が続きます。

「ハワイやロンドンに行って気分が晴れた」などというのはうつ病では考えにくいことです。

うつ病というより他の診断名が適当なのかなと思ってしまいました。語学研修できるくらいのエネルギーがあれば仕事もできると思うのですが……。

最近は、20代、30代の若い人たちに「非定型うつ」と呼ばれる症状が目立つようになりました。現代型うつ病ともいわれますが、B子さんもこの典型のような気がします。この症状には以下に紹介する2つのパターンがあります。

 

「非定型うつ病」(現代型うつ病)

①双極Ⅱ型 

今のうつ症状と次のうつ症状までの間は気分がよくなり活動性が高まります。すなわち躁状態(気分が高揚して陽気になり、活発で多弁な状態)が周期的に出現します。

一方、うつ状態のときは、自分を過少評価します。人のことが気になります。意欲が沸かず、集中力はありません。

そんな状態が1週間くらい続いた後、突然陽気になり、おしゃべりで自信家になります。そのときは睡眠時間が短くても精力的に働くことができます。

 

②17時までうつ

うつ症状が気分の上下で決まるのではなく、自分のおかれている状況によって症状が出てきます。

自分の所属している組織などに帰属感がなく、社会人であれば職場でのやりがいを感じられません。就業中は抑うつ的ですが、帰宅時(17時)には躁状態になります。

学生時代の気分が抜けきれずモラトリアム人間と呼ばれていた人達に多いようです。無気力、無関心、無感動、逃避、回避、強迫的思考などがありますが、本業以外のことには力を発揮する場合があります。

 

A子さんの抑うつ的症状は現代の若者の持つ「非定型うつ病」により更に深くなっていきました。昇進うつの原因の一つに若い部下達の理解できない思考、行動によるものが多々見受けられました。

次回は「現代若者のうつ感」について説明します。(続く)