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ストレスを跳ね返す力(下)

2008/05/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井たみえ

 

前号でふれましたように、谷底にも落ちず、ただ傷がつかないように指示、命令ばかりする親の元で育った子は、ストレス耐性が備わっていません。

下の図1にあるようなへこんだボールを跳ね返す力が弱いのです。

 

そのような子は親の期待にこたえようとするため、目標は高く掲げます。しかし、現実感と経験がないため、すぐに挫折してしまい「親が悪い」と駄々をこねます。

 

20歳を迎えたある青年は、高校1年で

不登校になり、自分が辛い生活をせざるを得なくなったのは「親のせいだ」と明言しました。

自分が何をすべきか分からず暴れると親はオロオロするばかりで機嫌をとってくる。

生きていく上で何が必要かを教えてくれなかった。要るものと要らないものとの判断の仕方、人間付き合いはどうすればよかったのか……等など。彼は疑問符だらけなのです。

 

 

 図1 

ストレッサーとストレス状態

 

 

親は高い教養と社会的地位を持っていますが、彼の心のボールをへこませることなくストレッサー(ストレスの源)を排除してきたのです。

父に大学受験の相談をしたときに、父と同じ大学を勧められたそうです。

父は彼に大学生活の楽しさ、卒業後は大手企業に就職ができて安定する等、父の生き方を熱く語ったようです。

彼は父の言うことならば今までの夢を一挙に大学生活で取り戻せると考えていました。仲間と旅行に行ったり、バイトをしたり、悩みの相談をしあったりと想像は膨らみました。

しかし、現実は文系の得意だった彼が受験したのは理系だった為に不合格になってしまったのです。

 

彼の怒りは父に向かいました。彼は、自分の人生が最終章に来てしまったように感じました。

高校時代の仲間に会うと大学生になれなかった自分がみじめになります。春になると受験の頃を思い出すため、ことさら憂鬱になり、新たな引きこもりをはじめました。

 

しかし、彼はカウンセリングを通じて考え方を変えることができるようになりました。そして今、自分の人生を受け入れることで人に頼らず自分で解決していく道を歩みはじめています。

旅先で様々な人の意見を聞き、身と心を鍛えていますから、辛い体験の引き換えにストレッサーを跳ね返す力がみなぎるでしょう。

 

ストレスを跳ね返す力

(その2)自我防御機制

1930年に心理学者E.G.Boringが公表した「嫁と義母」という有名なだまし絵があります。

「若い婦人と老婆」というタイトルをインターネットで検索すると、簡単にその絵をみることができます。是非それをご覧ください。

絵の女性は何歳ぐらいに見えるでしょうか? 

 出典:Boring

 

 答えは「若い女性」が圧倒的に多く、ほとんどの人がそう答えます。

では、「若い女性」に見えた人に他のものに見えないかと聞くと、他のものにはなかなか見えません。

さらに「他のものには見えませんか」と問い続けると、よく考えた挙句、視点を変えると「老婆」にみえることに気づく人が3分の2ぐらいです。しかし、3分の1の人は「若い女性」にしか見えず「老婆」という新しい認知は生まれてこないままでした。読者のみなさんも「若い女性」と「老婆」の両方がみえるまでじっくりこの絵をみてください。

 

例をとっていうと、ストレスを受けやすい人は、その時に自分が感じたり考えたりしたことを変化させることが苦手なタイプということができます。

「国家の品格」の一文に「人を殺してはいけない」という考えを状況の変化に即して変えていかなければ自分が死ぬことになる、ということが書かれていたことを記憶しています。

確かに法律、道徳等で私たちは「人を殺してはいけない」と教えられ、現に今の日本では殺すと法律で罰せられます。これを硬直的に「絶対にいけないのだ」と考えるのではなく、状況によって考え方を変えていくことが「ストレスに強くなる」ということです。

極論になりますが、戦争という状況に陥ったときに「人を殺してはいけない」という考えを戦場でも守り抜いていると、兵士として生きてはいけないということになります。

 

現に「うつ」を発症しやすいタイプの人は思考を変えることが苦手で、今までの思考に固執しています。

例えば前述の絵についても、メンタルヘルス研修の講師(説明者)が、相手に対して何とか「老婆」に見えるように話をしても、「だって、でも」と否定してしまい自分の思考を変えようとしません。

たとえば「1年生になったら友達100人作って、みんな友達!と仲良くなる」と思い、その考えに何十年も固執して生きてきて、未だに「どうして100人友達ができないのか」と日々悩み「うつ」を発症した人がいます。

ストレッサーが確定したら下の図のように丸いボールを自ら変形させて(自分の考え方を変える)ストレスに対処していく方法が自我防衛機制です。プラス思考に変えるということです。

 

 

ストレスを跳ね返す力

(その3)カタルシス

ストレスを跳ね返すもうひとつの方法は愚痴や悪口を言い合うことです。

サラリーマンの町、新橋(東京)で一杯飲んだ後にTVなどでインタビューを受けている人のコメントはお酒が入っていることも手伝って、とてもオモシロく本音で語っているようです。ともすれば、見ている側からすると、後で後悔しなければいいなあと、余計な心配をしてしまいます。

実はストレスのはけ口で一番先に利用しやすいのが愚痴大会です。

4月号で紹介した数え歌の最後の「光るはオヤジのハゲ頭!!」です。

罪悪感を持ってしまう方にはお勧めできませんが、本当は罪悪感を持ちやすい人こそこの方法が必要なのです。相手を選んで思いっきり愚痴、悪口を言うことが大切です。

実はカウンセリングが、この「カタルシス」にあたります。

ストレスを感じたら初期の頃に愚痴を言いに行けば立派な対処方法で、ストレス解決策が増えたということになるでしょう。

3つのストレス対処メカニズムを駆使して弾力のある丸い心を育て、自分の人生を柔軟に生きて下さい。