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「今どきの若者は」という今どきの大人は

2008/02/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井たみえ

 

「今どきの若者は……」古代エジプトのピラミッドの中に書かれていた言葉だそうです。いつの時代にも若者達に投げかけられる大人の言葉です。

 

・礼儀を知らない

・人の迷惑にならなければ何をしてもよいと考える

・他人のせいにしたがる(自分で責任をとらない)

・問題解決を避け、自分と向きあわない

 若者に対するこうした指摘は、大人の優越感を感じてしまいますが、むしろ大人の人格の問題だと私は考えます。

 

どんなに素晴らしい言葉を使っていても、人の心を動かすのは、その人の想いではないでしょうか。親が子供のファンになり、「よき社会人」である親のお手本を子供に見せながら育てているでしょうか。

子供に善悪を教えるには条件があります。それは「説得力」です。

大人は若者に対して、未熟で全てに劣っているという認識をもっています。若者はそういう大人の認識を充分察知していますから、虚勢を張ったり焦ったりします。

このような心理を知ればこそ、大人は若者に真剣に向き合い社会人として何が大切か、なにが必要かを語ってほしいのです。若者の存在そのものに畏敬の気持ちを持ってほしいと思います。

カウンセリングは相手の気持ちを理解し援助していくことが中心です。カウンセラーはクライアントの一番のファンであることが前提となります。クライアントは表情、息遣い、指の動き、沈黙などでカウンセラーに訴えてきます。そして自分のいいたかったことがうまく伝えられない時は、言葉も少なくなり、意味不明な文言が続くことがあります。

こんな時こそ何が問題なのか、クライアントの発した短い言葉の意味はこれでいいのかなどを質問します。そうすると自然に自分の言葉で自分の考えを伝えてきます。そのときは「意味不明」ではなく本人の意志を伝えられたという満足な表情になっています。

このようなプロセスを経ながら、質疑応答を繰り返し心を通わせていきます。

人は自分のことを認めてくれた人に対しては胸襟を開きます。ですから若者に真っ向から向き合って畏敬の気持ちをもってファンになれば大人の意見にも耳をかし「何て説得力のある人だ!」と勝手に相手の方から尊敬してくれるのではないでしょうか。

「今どきの若者は……↑」などと上目線で若者に意見を言ってもソッポを向かれるだけです。なぜこのような言動をするのか、どんな事に悩んでいるのか、将来どうしたいのか、本人に興味を持ってあげることで説得力のある素敵な先輩になるのです。

 

娘に反省させられたある事件

娘との関係を反省させられたある事件を思い出しました。参考になればと思い、恥を覚悟で懐かしさと反省をこめて書いて見ます。

 30代から私はカウンセリングに没頭し、一人娘の成長に関心がなかったのです。日々くるクライアントの心には敏感でしたが、活発で何でも積極的に行動する娘に対しては安心しきっていました。

「ママはカウンセラーで人のためになる仕事をしている。だから私も将来はカウンセラーになるの」という娘に対して母としての優越感というおごった感情がありました。

 そんな娘が進路を留学に決めたとき、私は寂しいというよりなぜか仕事に打ち込めるのでホッとしたことを覚えています。

一人海外生活をしている娘は何かと問題を起こします。寂しいためか国際電話は一日おきにありました。しかし、私は声を聞きながらお金の計算をしていました。

私はその頃50歳を迎え、大人として社会人の先輩として、若者達に何か偉そうに問いかけていました。

夏休みで久しぶりに娘が帰国した時、食事の約束をしました。しかし、突然のカウンセリング予約が入り、キャンセルせざるをえなくなり、電話すると「あなたはいつも自分の仕事が優先で娘の存在を無視してきた。私はいつかお母さんが私を認めてくれるだろうと思ってお母さんの期待に沿うよう頑張ってきた。ひとりで淋しいときがたくさんあっても、遅い帰りの日も、仕事で疲れているし人をたくさん助けているんだものと自分にいいきかせて、ほとんどの事は友人と相談して決めてきた。でも、今日はお母さんに自分の本当の気持ちを伝えたかった。又、いつものように今日はゴメンネですましてしまうんだね。もういい!」

頭に10tのコンクリートが落ちてきたような気分でした。娘を思いやっている気持ちは実は偽物で表面的なもの。彼女は私の気持ちを見抜いて耐えていたのでした。

帰宅するときの気持ちは重く、否定された母親、失格者のレッテルが胸に張りついていました。そして娘の顔をみた私は素直に土下座をしていたのです。

「ごめんなさい。こんなバカな母だと知らずにあなたの母をしてしまいました。許してください」こんなことしか言えませんでした。

 その後、娘は私との関係をいろいろ伝えてきました。一気に彼女の気持ちが開いたのです。せつなく淋しい気持ちが手にとるように伝わってきました。泣きじゃくっている娘は3歳児のようでいとおしく思わず抱きしめていました。「親から土下座されるなんて思いもよらなかった」と語る娘から私は救われたのです。

「今どきの若者は……」と言っていた私の大人としての態度を反省する一事件でした。冒頭の言葉は私の大きな反省からの言葉です。なまいきな60歳の「ささやき」としてお許しください。