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山田人事部長の憂鬱(その1)うつ病の疑いのある社員が出たとき

2007/07/01
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みらい総合心理研究所 所長 岸井たみえ

 

休職社員の急増

人事部長の山田さんは社員数600名のIT関連企業に勤務しています。人事部長に就任して3年目になります。

会社はITバブルがはじけた翌年から新卒採用を控えていたのですが、業績が上向きになりはじめたので、今年から新卒者を採用し始めたばかりです。

ところが、最近、うつ病で休職をする社員が増加していることに気づきました。先日に引き続き今日も「休職3カ月を要する」という社員の診断書を渡されたところです。

今月はもうすでに3名。いずれもバリバリの30代です。

休職者の状況を本人の直属の上司から聞いてみました。

 

<Aさん(37歳 役職なし)>

自分に与えられた仕事を淡々とこなすタイプです。

3年前からは、プロジェクトのチームリーダーとして活躍。自分の業務以外に部下の指導もしなければなりません。仕事は超多忙で、勤務時間外に自分の業務を消化する毎日です。残業時間は月に80時間から100時間に及びます。

その頃から睡眠障害を訴えるようになりました。朝3時頃に目が覚めてしまい、そうすると、以降は眠ることができなくなっていきました。

40代上司からは残業時間が多いことを指摘され、「控えるように」と言われました。しかし、どのように仕事量を分担してよいか判断ができず、納期が迫っているため土日出社し、サービス残業をする結果になりました。

ネットでストレスチェックをした結果、ストレス度があまりにも高い得点だったため、翌日精神科を受診。その結果、うつ病と診断され、服薬しながら勤務を続けていましたが、その6カ月後に休職に至りました。

<Bさん(30歳 入社4年中途採用)>

Bさんのプロジェクトチームは10名で40代後半の上司と30代が8名。

Bさんは当時26歳で20代1名という年齢構成になっていました。

入社当時から雑用が多く、会議室の設定、会議議事録の整理、業者打合せ連絡日設定が主な仕事でした。

Bさんからみると、先輩たちはプロジェクトに関わっており、スキル向上のために日々生き生きと仕事をこなしているようにみえました。

それにひきかえ、Bさんはいつまでも部下ができず、仕事は先輩の後始末ばかり。スキルアップをしたいと思っていても現状は変わりません。やがて、自分だけが取り残されているような気がしてきました。

 

 

思い切って「他部署へ異動してスキルアップのできる仕事をしたい」と上司に相談しますが、「今はガマンしてくれ」と言われました。

Bさんは永遠にこのままの状態が続くのではないかと思い、絶望感を強くし、その1カ月後に休職となりました。

<Cさん(34歳)派遣社員>

雇用形態が変わり、同じ職場に派遣社員がひとりだけの職場に配属されました。

正社員と非社員が混在した職場であるためコミュニケーションがとりづらい職場です。隣の席の人はCさんより2歳年上ですが、フレックス制度を利用しているため会う時間がありません。

Cさんの仕事は、責任者の指示を受けるだけです。毎日がこうして過ぎていきます。

やがてCさんは、自分の置かれている状況に不安を覚え、自分が必要とされているのかわからなくなってしまいました。同時に、仕事で差別されているような気持ちにもなってきました。

派遣会社のアドバイザーに現状を訴えてみたら、「直接上司に相談してほしい」と言われ、「契約は1年後に終了する。それまでなんとか仕事を続けてほしい」とまで付け加えられました。Cさんの職場ではシステムエンジニア不足の実態があります。

この言葉を聞いてCさんは行き場所を失ったような気がしました。

Cさんは契約期間を7カ月間残し、欠勤が続いています。現在は抗うつ剤を飲み自宅で療養中です。

 

現場の実態に慄然

現場の実態をリサーチした結果、次の問題点があることがわかりました。

現場では、うつの疑いのある社員が出たとき、どのように対処していいのか分からず、現場責任者にも戸惑いがありました。彼らは、なんとか自分だけで解決したいと考えてしまい、時間だけが経過していました。

このままでは、社員の自殺という最悪の状況を作ってしまう……

山田さんは、実態を知り慄然としました。そして、職場にメンタルヘルスを導入することを決意し、ただちに外部のEAP(従業員復職支援プログラム)業者と打合せをはじめました。

 

3段階のストレスマネジメント研修

 打ち合わせの結果、ストレスマネジメント研修に会社をあげて取り組むこととし、次の3段階のステップを職場で実行することとしました。

 

第一段階

管理職にうつ病についての知識を知ってもらう。うつ病を知ることで管理者は部下の変化に気づくことができ、早期に対処できる。

第二段階

社員全員がストレスチェックシートの記入をしていく。

 生活・社会・心身の状態を一人ひとりが見極めライフスタイルを高めていく。

第三段階

人間関係の向上のためにコミュニケーションスキルの研修を実施する。

 

こうして企業の活性化と社員の不安、悩みを解消するために、メンタルヘルスの導入は決定されました。

次号(8月号)でその経過と問題点についてご報告いたします。

 

<参考:部下の行動から読み取るうつ病のチェックポイント>

作業効率が悪くなり遅刻欠勤が多くなる。

残業時間が月に80時間以上になっている。

洋服が乱れてくる。

暴力的な発言が多くなる。

口数が少なくなる。

ミスが多くなる。

トイレの回数が多くなる。

タバコが酒量が多くなる。

急に太ったりやせたりする。

ぼーっとしている。

注)次号(8月号)でチェックポイントの詳細を解説します

 

図表 

脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況(平成18年度)について